国税当局は、インターネット上のプラットフォームを介してシェアリングエコノミー(シェアエコ)等新分野の経済活動に係る取引や暗号資産(仮想通貨)等取引を行っている個人に対しては、有効な資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施している。シェアエコ等新分野の経済活動とは、シェアリングビジネス・サービス、ネット広告、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークション等を総称した経済活動のことをいう。

国税庁によると、今年6月までの1年間(2022事務年度)において、シェアエコ等新分野の経済活動を行っている個人を対象に1324件(前事務年度比57.8%増)を実地調査(特別・一般)した結果、1件当たり平均1508万円(同9.1%増)の申告漏れ所得金額を把握。申告漏れ所得金額の総額は200億円(同72.4%増)。1件当たりの追徴税額は320万円(同20.3%増)。追徴税額の総額は42億円(同90.9%増)にのぼった。

調査件数1324件を取引区分別にみると、「ネット通販・ネットオークション等」が472件(35.6%)で最も多く、次いで、民泊、カーシェアリング、クラウドソーシングなどの「シェアリングビジネス」が350件(26.4%)、アプリ作成・配信、有料メルマガなどの「デジタルコンテンツ」が100件(7.6%)、アフィリエイトなどの「ネット広告」が90件(6.8%)などとなっている。

また、前回の集計から発表された暗号資産(仮想通貨)等取引は、シェアリングエコノミー等新分野と区別しており、2022事務年度においては、615件(前事務年度比38.5%増)の実地調査(特別・一般)を実施。1件当たりの申告漏れ所得金額は、3077万円(同▲15.9%)。申告漏れ所得金額の総額は189億円(同16.7%増)。1件当たりの追徴税額は1036万円(同▲13.2%)。追徴税額の総額は64億円(同20.8%増)にのぼる。

調査事例では、SNSを利用して企業からの依頼で商品を宣伝する「インフルエンサー」の女性Aを対象にしたものがある。Aは、申告分以外にも収入があることは認識していたが、源泉所得税の還付を受けるために支払調書の交付を受けた分のみ申告し、同調書の交付がない分は申告していなかった。Aに対しては、所得税5年分の申告漏れ所得金額約9500万円について、加算税込み(重加算税あり)の税額約4000万円を追徴している。

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