インボイス制度が10月1日から開始されたが、国税庁はこのほど、「インボイス制度開始後において特に留意いただきたい事項」をパンフレットにまとめ公表した。まず「登録通知が未達の場合の対応」を採り上げ、その対応として、事前にインボイスの交付が遅れる旨を先方に伝え、通知後にインボイスを交付、通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、通知後に改めてインボイスを交付しなおす。

さらに、通知後にすでに交付した請求書等との関連性を明らかにした上で、インボイスに不足する登録番号を書類やメール等で知らせる。また、事後的な交付が困難な小売店等では、事前にインボイスの交付が遅れる旨を事業者のHPや店頭にて相手方に知らせて、事業者のHP等において登録番号を掲示し、相手方にそのページとレシートを併せて保存してもらうなどの対応が可能だとしている。

次に「インボイスの適正性の確認」を留意事項の一つとして挙げて、売手から受領したインボイスについて、登録番号が適正なものか、取引の都度確認する必要があるのかとの疑問に対して、インボイスの適正性(番号が有効かどうか)については、事業者において確認する必要があるが、必ずしも取引の都度確認する必要はなく、取引先の規模・関係性・取引の継続性などを踏まえ、判断することになると説明。

また、インボイス公表サイトでの検索結果と、インボイスに記載された名称(屋号)が異なる場合はどうすればいいのかに対しては、公表サイトは、取引先から受領した請求書等に記載されている番号が、「登録番号」として取引時点において有効なものかを確認するために利用するものであり、その有効性が確認できれば、一義的には正しいインボイスとして取り扱って差し支えないとしている。

最後の留意事項は「クレジットカード利用の場合」。クレジットカード利用明細書は、一般的にインボイス記載事項を満たす書類には該当しないため、その保存のみで仕入税額控除はできない。ただし、例えば、少額特例の対象となる取引や、公共交通機関特例、出張旅費等特例など、インボイス保存不要で仕入税額控除が可能となる特例の対象となる取引は、カード利用明細書等に基づいて仕入税額控除に係る処理をしても問題ないとしている。

そのほか、ETCの利用に係るクレジットカード利用明細書は、ETC利用照会サービスからダウンロードした利用証明書(高速道路会社等ごとに任意の一取引)と合わせることで、簡易インボイスの記載事項を満たすものとなるので、その場合は、保存が必要になると説明している。

同パンフレットは↓
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0023011-111.pdf

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