総務省の地方財政審議会はこのほど、2024年度地方税制改正等に関する意見書を公表した。意見では、外形標準課税の対象から外れている実質的に大規模といえる法人を対象とした制度的な見直しを行うことを提言。外形標準課税の対象法人数は、ピーク時(2006年度)の3分の2に減少しているが、その要因として、減資によるものが多いと考えられ、特に、財務会計上、単に資本金から資本剰余金へ項目振替を行う事例が多いと指摘した。

そこで、減資や組織再編により実質的に大規模といえる法人が外形標準課税の対象に含まれないという問題への対応策として、現行基準(「資本金1億円超」の法人)を基本的に維持しつつ、公平性等の観点から、減資・組織再編の動きに対応するための追加的な基準を付け加えることが適当とした。項目振替型減資に対応するためには、追加的な基準の指標として、資本金の振替先である資本剰余金に着目したものを採用することを提案。

追加的な基準の指標は「資本金と資本剰余金の合計額」とすることが適当とし、具体的には、資本金が1億円以下の法人であっても、資本金と資本剰余金の合計額が一定水準を上回る法人を外形標準課税の対象として追加すること。また、組織再編への対応としては、資本金と資本剰余金の合計額が一定水準を上回る法人の100%子会社等を外形標準課税の対象として追加することも提言した。

その上で、今回の見直しは実質的に大規模といえる法人を対象とするものであり、新たに外形標準課税の対象となる法人の範囲(追加基準の水準等)については、政府の経済施策や経済団体等の意見を踏まえた検討が必要とした。今後、第2次中間整理に沿って一層検討を深め、外形標準課税の対象から外れている実質的に大規模といえる法人を対象とした制度的な見直しを行うべきであるとの方向性を示している。

外形標準課税の見直し以外では、総合経済対策における個人住民税の定額減税については、地方の財政への影響や事務負担に配慮しつつ、地方団体が円滑かつ確実に実施できるよう制度設計を行うべきこと。各種控除をはじめとした所得課税のあり方の議論にあたっては、こども・子育て政策や、働き方の多様化等の経済社会の構造変化とともに、個人住民税の性格や役割も十分に踏まえるべきとした。

また、固定資産税について、近年、地価の動向が多様化しており、地価が上昇局面の地域では負担水準が大きく低下する土地が生じるなど、全国的には負担水準のばらつきが見られると指摘。商業地等については、評価額の5%ずつ課税標準額を引き上げる等の現行の負担調整措置を引き続き講ずることにより、負担水準を再び据置きゾーン内に収斂させることに取り組み、着実に負担水準の均衡化を進めるべきとの意見を示している。

2024年度地方税制改正等に関する意見は↓
https://www.soumu.go.jp/main_content/000912013.pdf

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