財務省が公表した「2022事務年度(2022年7月~2023年6月)において全国の税関が行った輸入品に対する関税及び内国消費税に係る犯則事件の調査」結果によると、同事務年度に処分(検察官への告発または税関長による通告処分)した件数は169件(前年度39件、前年度比約4.3倍)となったことが分かった。処分を行った件数の内訳は、通告166件(同37件、同約4.5倍)、告発3件(同2件、同1.5倍)だった。

また、処分した事件に係る脱税額は、総額で約2億1279万円(前年度比約2.7倍)だった。内訳は、関税が747万円(同▲約0.4倍)、内国消費税が2億532万円(同約3.3倍)となっている。告発件数は3件だったが、告発分に係る脱税額は、関税が0円、内国消費税が1650万円(同約1.5倍)。通告分は、関税が747万円(同▲約0.4倍)、内国消費税が1億8882万円(同約3.6倍)となっている。

処分した事件のうち、「金地金」の密輸事件が125件(前年度比約9.6倍)と全体の約74%を占めた。その脱税額は総額で1億6714万円(同約8.2倍)にのぼった。金地金以外では、「腕時計」の密輸事件が15件(脱税額1214万円)、「たばこ」の密輸事件が14件(同877万円)、「バッグ類」の密輸事件が11件(同947件)のほか、「アクセサリー類」が4件(同129万円)、「衣類」が4件(同189万円)などがあった。

金地金脱税事件をみると、犯則者Aらがベトナムから入国の際に、金地金約3.8キロを携帯品(変圧器)に隠し、税関長の許可を受けずに輸入しようとし、消費税等約316万円を不正に免れようとした事案を告発。また、犯則者Bが韓国から入国する際に、金地金約2キロを身辺に隠し、税関長の許可を受けずに輸入しようとし、消費税等約169万円を不正に免れようとした事案を告発したものが報告されている。【ともに2023年4月・門司税関】

なお、犯則調査の結果、告発は、その情状が懲役刑に相当するとき、または通告処分を履行する資力がないとき等に、検察官に告発し、刑事手続きに移行するもの。通告処分は、その情状が罰金刑に相当するときに、税関長がその罰金に相当する金額の納付を求める行政処分で、犯則者がこれに応じないときは検察官に告発することになる。また、金地金には、金塊に加えて一部加工された金製品も含む。

この件については↓
https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/20231108a1.html

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