財務省がこのほど公表した「2022事務年度(2022年7月~2023年6月までの1年間)に、全国の税関が行った輸入者の関税及び内国消費税の輸入申告に対する事後調査」結果によると、同事務年度は、3312者(対前年度比123.2%増)の輸入者に対して事後調査を行い、うち73.6%(同▲1.7ポイント)に当たる2437者(同118.0%増)の課税価格に申告漏れがあったほか、適用税率に誤りがあったことが明らかになった。

申告漏れ等に係る課税価格は884億9259万円(対前年度比49.7%増)となり、これに対する納付不足額は、関税が8億872万円(同12.0%増)、内国消費税が85億3461万円(同54.0%増)となり、追徴税額合計は98億1733万円(同52.1%増)と、前年度に比べて大きく増加している。追徴税額のうち、加算税は4億7400万円(同145.1%増)、うち重加算税額は1323万円(14.4%増)だった。

納付税額の不足が多かった品目は、「光学機器等」が22億6千万円で最多、「自動車等」14億5千万円、「電気機器」9億8千万円、「機械類」9億6千万円、「履物類」4億1千万円と続き、これら5品目で、納付不足税額の総額の約6割を占めた。また、主な申告漏れ等の事例では、(1)輸出者又は輸入者が作成した取引価格よりも低価格を記載したインボイスによる輸入申告、(2)インボイス価格とは別に支払う貨物代金の申告漏れなどがあった。

重加算税が賦課された事例では、輸入者が自らインボイスを改ざんしたものがある。中国の輸出者から電熱グローブ等を輸入していたAは、正規の価格が記載されたインボイスをもとに、自ら正規の価格よりも低い価格に書き換えたインボイスを作成し、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、そのインボイスに基づき申告していた。その結果、不足課税価格は8721万円で、追徴税額1846万円(うち重加算税256万円)が課された。

また、輸入者Bは、ニュージーランドの輸出者からサプリメントを輸入していた。Bは、輸入申告前に正規の価格を認識していたが、輸出者と通謀して、取引価格よりも低い価格を記載した虚偽のインボイスを輸出者に作成させ、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、そのインボイスに基づき申告していた。 その結果、不足していた課税価格は1705万円で、追徴税額561万円(うち重加算税142万円)が課されている。

同輸入事後調査結果は↓
https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/20231108jigochozentai.pdf

提供:株式会社タックス・コム