会計検査院が7日に公表した2022年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは344件、580億2214万円(327件分)だった。前年度に比べ、指摘件数は34件増加。前年度に引き続き、新型コロナ感染防止への対応として、検査官による実地検査が検査対象機関に配慮する中で、指摘件数は増加し、指摘金額では前年度の約455億円を大幅に上回った。

財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の過不足2億4085万円(うち過大300万円)が指摘された。検査の結果、55税務署において、納税者84人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が85事項、2億3785万円、徴収過大が1事項、300万円。前年度は、46署において徴収不足が72事項、1億6062万円だったので、徴収不足は約8000万円増加したことになる。昨年度、徴収過大は154万円だった。

徴収が過不足だった86事項を税目別にみると、「法人税」が46事項で徴収不足が1億3627万円と最も多く、以下、「申告所得税」22事項、同7100万円、「消費税」13事項(うち過大1事項)、同2377万円、「相続・贈与税」3事項、同415万円、「源泉所得税」1事項、同194万円などだった。これらの徴収過不足額については、会計検査院の指摘後、全て徴収決定・支払決定の処置がとられている。

法人税では、徴収不足46事項のうち、「法人税額の特別控除」が26件、「交際費等の損金不算入」に関するものが7件を占めた。例えば、A社は、2019年4月から2020年3月までの事業年度分の申告で、当該事業年度の雇用者給与等支給額388億542万円が、前事業年度の比較雇用者給与等支給額363億7868万円を上回るなどとして、雇用者給与等支給増加額24億2674万円の15%相当額3億6401万円を法人税額から控除していた。

しかし、A社の前事業年度分の申告書に添付された明細書等によれば、雇用者給与等支給額から控除すべき適正な比較雇用者給与等支給額は364億8473万円だった。そのため、適正な雇用者給与等支給増加額は23億2069万円と算出され、法人税額の特別控除額はその15%相当額の3億4810万円となり、1590万円過大となっているのに、税務署はこれを見過ごしたため、法人税額1590万円が徴収不足になっていた。

財務省に対する不当事項(租税の徴収額に不足)は↓
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary04/pdf/fy04_futo_10.pdf

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