政府は11月2日、物価高対策として所得税と住民税の減税や低所得者向けの給付などを盛り込んだ総合経済対策を閣議決定した。賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、2024年分所得税及び2024年度分個人住民税の減税を実施する。対策には、過去の2年間で所得税と住民税で3.5兆円増えたことから「3兆円半ばの定額減税を実施する」と記した。

具体的には、納税者及び配偶者を含めた扶養家族1人につき、2024年分の所得税3万円、2024年度分の個人住民税1万円の減税を行うこととし、減税の実効性を高めるため、所得税・住民税の制度の連携により、2024年分の所得税額を所得税減税額が上回る場合においては、2025年度分の個人住民税において残りの額を控除できる仕組みを設ける。2024年6月から減税をスタートできるよう、2024年度税制改正において検討し、結論を得る。

一方、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者には、迅速に支援を届ける。多くの地方公共団体において、本年夏以降1世帯当たり3万円を目安に支援を開始してきた物価高対策のための「重点支援地方交付金」の低所得世帯支援枠を追加的に拡大し、今回、1世帯当たり7万円を追加することで、住民税非課税世帯1世帯当たり合計10万円を目安に支援を行う。この減税によって生ずる個人住民税の減収額は、全額国費で補填する。

定額減税と住民税非課税世帯への支援は、両支援の間にある者に対しても丁寧に対応する。具体的には、(1)住民税非課税世帯には該当しないが、個人住民税の定額減税の対象とならない住民税均等割のみ課税される世帯、定額減税が開始される時期に新たな課税情報により住民税非課税世帯に該当することが判明する世帯には、地域の実情に応じて、上記の住民税非課税世帯への支援と同水準を目安に支援を行えるようにする。

また、(2)低所得者世帯のうち世帯人数が多い子育て世帯や、定額減税の恩恵を十分に受けられないと見込まれる所得水準の者には、地域の実情等に応じ、定額減税や他の給付措置とのバランスにおいて可能な限り公平を確保できる適切な支援を行えるよう、物価高対策のための「重点支援地方交付金」による対応を中心に、地方公共団体の事務負担に配慮しつつ、2024年度税制改正と併せて、本年末に成案を得る。

減税以外では、地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現するため、賃上げ促進税制について、物価高に負けない賃上げを実現できるよう強化する。その際、中小企業等について、赤字法人においても賃上げを促進するための繰越控除制度を創設するとともに、措置の期限の在り方等を検討する。併せて、マルチステークホルダーとの適切な関係の構築に向けた方策を講じるとしている。

総合経済対策政策ファイルは↓
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2023/20231102_taisaku_file.pdf

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