今年6月末現在の法人数は前年から1.8%増の334万1千法人で、うち2022年度内に決算期を迎え今年7月末までに申告した法人は、同2.0%増の312万8千法人だったことが、国税庁がこのほど発表した2022事務年度の法人税等の申告事績で分かった。その申告所得金額は同7.0%増の85兆106億円、申告税額の総額も同7.1%増の14兆9099億円とともに3年連続で増加。申告所得金額の総額は過去最高となった。

法人の黒字申告件数は113万1千件(前年対比3.5%増)で、黒字申告割合は前年度を0.5ポイント上回る36.2%で2年連続の上昇となり、2014年度以降9年連続で30%台となった。ただし、法人の黒字申告割合は、過去最高だった1973年度(65.4%)の半分前後の低い数字が1993年度から30年も続いており、法人の黒字申告割合は低水準が続いている。黒字法人の申告1件あたりの所得金額は前年度比3.4%増の7518万1千円だった。

一方で、申告欠損金額は前年比3.5%増の17兆4295億円、赤字申告1件あたりの欠損金額も同2.2%増の872万7千円と、ともに増加。ちなみに、申告欠損金額のピークは1999年度の33兆2791億円だったので、2022年度は約52%まで減少している。申告所得金額が大幅に増加する一方、欠損金額も増加したことは、新型コロナ感染拡大の影響がやや薄まった中で、企業の業況が二極化していることがうかがえる。

また、今年6月末現在の通算法人数は、親法人が1954法人、子法人が1万6391法人の計1万8347法人(同1.0%増)だった。2022年4月からグループ通算制度が導入された影響で、連結法人に係る申告した親法人は1079法人(同▲44.6%)と大幅に減少している。グループ通算制度とは、完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行い、その中で、損益通算等の調整を行う制度。

その通算法人に係る法人税の申告状況をみると、申告件数は1万2581件、うち黒字申告は7442件で黒字申告割合は59.2%となる。グループ通算制度では、大規模法人が多い黒字申告割合は約6割に達し、黒字所得金額も18兆3868億円にのぼる。黒字申告1件当たりの所得金額は24億7100万円、申告欠損金額は2兆9877億円、赤字申告1件当たりの欠損金額は5億8100万円だった。

なお、2022年度の法人税申告におけるe-Taxの利用件数は270万5千件で、前年度比5.3%増加し、利用率は前年度を3.2ポイント上回る91.1%と9割超まで上昇。また、法人税の申告のe-Tax利用件数のうち、財務諸表や勘定科目内訳明細書など申告書に添付すべきものとされている書類が全てe-Taxで送信された割合(添付書類を含めたe-Tax割合)についても、年々増加しており、2022年度には74.1%となった。

2022事務年度の法人税等の申告事績の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/hojin_shinkoku/pdf/hojin_shinkoku.pdf

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