国税庁はこのほど、「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達)の趣旨について(情報)」を公表した。これは、マンションの相続税評価額が実勢価格の平均4割程度にとどまることから、その評価額の低さを利用したマンション節税、いわゆる「タワマン節税」を抑止するため、評価額の新算定ルールを定めた通達を解説したものだが、その中で、新たな評価方法の対象にならないものを説明している。

新たな評価方法では、一室の区分所有権等に係る敷地利用権及び区分所有権の価額に、一定の区分所有補正率を乗じて計算した価額を、その「自用地としての価額」とみなして評価する。具体的には、「築年数」、「総階数指数」、「所在階」、「敷地持分狭小度」の4指数に基づいた評価乖離率に応じて区分所有補正率が決まる。その結果、実勢価額の4割程度にとどまっていた評価額が、新査定ルールの導入で6割以上に上がる見通しだ。

区分所有補正率の対象となる「一室の区分所有権等」とは、一棟の区分所有建物に存する居住の用に供する専有部分一室に係る区分所有権及び敷地利用権をいう。「一棟の区分所有建物」とは、その区分建物の登記がされたものをいう。したがって、区分建物の登記をすることが可能な家屋であっても、課税時期において区分建物の登記がされていないものは、「一棟の区分所有建物」には該当せず、区分所有補正率の対象外となる。

また、「一棟の区分所有建物」には、「地階を除く階数が2以下のもの」及び「居住の用に供する専有部分一室の数が3以下であってその全てを区分所有者又はその親族の居住の用に供するもの」を含まないこととしている。これは通達が、分譲マンションの流通性・市場性の高さに鑑み、売買実例価額に基づく評価方法を採用したものだから、同じ区分所有財産であっても売買実例に乏しい低層の集合住宅や二世帯住宅は対象外としているものだ。

同様に、事業用のテナント物件や一棟所有の賃貸マンションなどについても、その流通性・市場性や価格形成要因の点で居住用の物件とは大きく異なることから対象外とし、居住の用に供する区分所有財産を対象としたものだ。したがって、「居住の用に供する専有部分」とは、一室の専有部分について、構造上、主として居住の用途に供することができるものをいい、原則として、登記簿上の種類に「居宅」を含むものがこれに該当する。

なお、構造上、主として居住の用途に供することができるものであれば、課税時期において、現に事務所として使用している場合であっても、「居住の用」に供するものに該当することとなる。

新通達の解説は↓
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/231013/pdf/01.pdf

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