国税庁は19日、6月20日付で発出された「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明を公表したが、その中に、2023年度税制改正において、中小企業投資促進税制の対象から除外されたコインランドリー業に係るものがある。改正の背景には、“コインランドリー投資節税”封じがあるが、通達では、対象から除外されないこととされた「中小企業者等の主要な事業に該当するもの」について例示している。

具体的には、(1)継続的に中小企業者等の経営資源(事業の用に供される不動産、事業に関する従業者の有する技能又は知識その他これらに準ずるものをいう)を活用して行い、又は行うことが見込まれる事業 、(2)中小企業者等が行う主要な事業に付随して行う事業、の類型のいずれかに該当する事業は中小企業者等の主要な事業であるとし、これらの事業の用に供する資産は制度の対象となる資産から除外しないこととされている。

ところで、一口にコインランドリー業といっても、近年ではカフェスペースにコインランドリーが併設され、飲食とクリーニングに係るサービスを同時に提供するようなケースが増えているほか、自社所有の土地の空きスペースにコインランドリーを設置して一般に開放するなど、法人の遊休資産を有効活用するケースなどもある。前者なら、カフェスペースで従事する従業員や、その接客等の技能をコインランドリー業でも活用することとなる。

後者においては、法人の事業の用に供される土地を活用してコインランドリー業を営んでいることとなるから、いずれの場合も法人は自身が有する経営資源を活用している。したがって、これらの場合の例示として、改正通達の(1)では、中小企業者等がその所有する店舗、事務所等の一画を活用して行うコインランドリー業は、主要な事業に該当し、対象から除外されないことを明らかにしている。

また、ある事業に付随して行う事業とは、通常、ある事業に係る事業活動の一環として、又はある事業に関連して行われるような事業をいうが、例えば、公衆浴場、いわゆる銭湯の敷地内又は銭湯に隣接する場所にコインランドリーが設置されているケースは少なくない。その場所が、その銭湯を営む中小企業者等の所有する敷地であれば、中小企業者等の経営資源を活用していることとなる。

そうでない場合であっても、このようなケースは銭湯の利用客が銭湯を利用している間に洗濯することができるようにするなど、一体となってサービスを提供しているものと考えられるから、主要な事業に付随して行われているといえる。改正通達の(2)では、このことを明らかにしている。

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