特定記録郵便により発送された処分に係る通知書を巡り、国税不服審判所は、配達完了の記録がされた日に納税者がその通知書を了知し得る客観的状態になり、送達されたものとなるとした。本事例は、処分に係る通知書が特定記録郵便により発送された場合には、その通知書は、その配達が完了した旨が記録された日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと評価でき、同日に送達されたと認められるとしたもの。

本件は、原処分庁が、審査請求人の2019年分の所得税等について、住宅借入金等特別税額控除額を控除できないとして、2021年10月29日付で更正処分等を行ったのに対し、請求人が、2022年3月8日に、原処分の全部の取消しを求めて審査請求をした事案である。請求人は、原処分に係る通知書(本件通知書)を受け取った日からすれば、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間内にされたものである旨主張した。

しかし裁決は、本件通知書は、特定記録郵便により請求人の住所に発送されているが、本件通知書が返戻された事実はなく、審判所の調査の結果によっても本件通知書が誤配達されたこと等をうかがわせる証拠は見当たらないことからすると、その配達が完了した旨が記録された日に送達を受けるべき請求人の住所に設置された郵便受箱に配達されたと認められ、同日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと指摘。

したがって、本件通知書は、同日に請求人に送達されたと認められ、本審査請求は、本件通知書が送達された日の翌日から起算して3月を経過した後にされたもので、また、請求人が法定の不服申立期間内に本審査請求をしなかったことが、国税通則法第77条《不服申立期間》第1項ただし書に規定する正当な理由があるといえる事情は認められず、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間を経過した後にされた不適法なものと判断した。

つまり、本審査請求は、本件通知書が送達された2021年11月1日の翌日から起算して3月を経過した後である2022年3月8日にされたものであり、また、請求人が法定の不服申立期間内に本審査請求をしなかったことについて、通則法第77条第1項ただし書に規定する正当な理由があるといえる事情は認められないとして、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間を経過した後にされた不適法なものと裁決している。(2023年2月22日裁決)

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