日本商工会議所は、このほど、「法人版事業承継税制」を周知するチラシの第二弾、「『え!? アトツギの税負担がナシ!?』事業承継の特例で贈与税・相続税が猶予・免除されます」を作成・公表した。法人版事業承継税制は、商工会議所の政策提言活動により、2018年度税制改正で抜本拡充(特例措置の創設)され、2022年度税制改正で事前の計画の提出期限が1年延長(2024年3月末まで)されている。

しかし、「猶予制度なので、後で必ず税金を納めなければならない」、「次の後継者が、自分が猶予を受けている分の税金を納めなければならない」といった誤解もあり、税制の活用に二の足を踏んでいる経営者も一部に存在している状況にある。そこで同チラシでは、同税制に対する誤解や不安を払拭し、理解促進を進め、積極的な活用を促すため、よくある疑問をQ&A形式でとりまとめるなどして分かりやすく解説している。

Q&Aをみると、「納税猶予ということは、結局、贈与税・相続税を払うの?」という質問に対しては、「後継者がさらに次の後継者へ承継することで、猶予されていた贈与税・相続税が“免除”される。また、『倒産』や『先代経営者(贈与者)の死亡』、『後継者(受贈者)の死亡』等、会社の“もしも”の時にも、猶予されていた贈与税が“免除”される」と回答している。

また、「贈与税・相続税が猶予されている期間には、何か手続きが必要なの?」との質問に対しては、「承継後5年間は年1回、都道府県庁と税務署に報告書を提出する必要があるが、提出期限が近付くと、都道府県・税務署から案内(手紙、電話等)が届くことになっている。また、やむを得ない事情などにより知事・税務署長が認める場合、期限後の提出でも猶予が継続するケースがある」と説明している。

さらに、「納税猶予が打ち切られた場合、これまで猶予されていた贈与税・相続税に加え、期間を遡って高額な延滞税を支払う必要があるの?」との質問では、「遡って延滞税が課されることはないが、これまで猶予されていた贈与税・相続税に係る利子税を払う必要がある。ただ、税率は0.4%(2023年度時点)と利率の高い延滞税より低水準で、承継後5年間が経過したあとの猶予打ち切りの場合は、その5年分の利子は免除される」と回答している。

同「法人版事業承継税制」の周知チラシは↓
https://www.jcci.or.jp/2023jigyosyokeizeisei.pdf

提供:株式会社タックス・コム