国税庁が、今年6月までの1年間(2021事務年度)における相続税調査は、資料情報等から申告額が過少と想定される事案や、申告義務がありながら無申告と思われるものなど6317件(前事務年度比23.7%増)を実地調査した結果、うち87.6%に当たる5532件(同23.6%増)から2230億円(同24.9%増)の申告漏れ課税価格を把握したことが明らかになった。加算税74億円を含む560億円(同16.2%増)を追徴課税した。

2021事務年度は、新型コロナ感染症の影響が弱まり、実地調査件数は増加した中で、大口・悪質な不正が見込まれる事案を優先して調査した結果、実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格が3530万円(前事務年度比1.0%増)と増加し、過去10年で最高となった。追徴税額は886万円(同▲6.1%)と減少した。また、重加算税を賦課した件数は858件(同19.3%増)で、その重加算税賦課対象額は340億円(同6.3%増)だった。

実地調査を適切に実施する一方、文書、電話による連絡や来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの「簡易な接触」も積極的に取り組んだ。簡易な接触件数は1万4730件(前事務年度比8.0%増)、申告漏れ等の非違件数は3638件(同16.1%増)、申告漏れ課税価格は630億円(同12.5増)、追徴税額は69億円(同7.2%増)と、いずれも簡易な接触の事績を集計し始めた2016事務年度以降で最高となった。

一方、申告・納税義務があるのに申告しない無申告事案は、前事務年度より24.7%多い576件の実地調査を行い、うち87.2%に当たる502件(前事務年度比22.7%増)から572億円(同25.8%増)の申告漏れ課税価格を把握し、74億円(同21.3%像)を追徴課税した。1件当たりの申告漏れ課税価格は9934万円(同0.9%増)のほぼ横ばいで、追徴税額は1293万円(同▲2.7%増)となった。

また、海外資産関連事案についても、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案などを積極的に調査。2021事務年度においては、660件(前事務年度比19.8%増)の実地調査を行い、うち115件(同19.8%増)から海外資産に係る申告漏れ課税価格56億円(同63.0%増)を把握し、うち20億円が重加算税賦課対象となっている。非違1件当たりの申告漏れ課税価格は4869万円(同36.1%増)だった。

2021事務年度の相続税の調査状況は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf

提供:株式会社タックス・コム