地方財政審議会は、総務大臣に提出した2023年度地方税制改正等に関する意見の中で、自動車税・軽自動車税が優遇されている電気自動車(EV)等について、種別割の税率を出力等により見直す必要があると主張した。自動車の環境性能に応じて税率を決定する環境性能割の税率区分については、地方税法に基づき2年ごとに見直すこととされており、2023年度税制改正において、税率区分の見直しが予定されている。

意見書は、車体課税について、環境性能割の持つ政策のインセンティブ機能を強化するとともに、種別割に係るグリーン化特例(軽課)の適用対象の重点化を引き続き促進することが適当。公平性等の観点から、EV等は出力等により財産的価値や道路損傷等を適切に反映する形で種別割の税率を定めること、ハイブリッド車はグリーン化特例(経年車重課)の対象に加える方向で検討することが必要とした。

さらに、応益課税の原則や社会インフラの維持管理等の観点を踏まえて、税収が安定的に確保されるよう、制度を見直していくことが不可欠とした。自動車税や軽自動車税は、自動車等の種別や総排気量等に応じて保有時に課税される。ただし、EV等はエンジンを搭載しておらず総排気量の値がないため、最低税率により課税しているが、類似の車両と比較した場合、その価格・出力・重量等に比べて低い税負担となっている。

EVはガソリン車と比べて重いため道路損傷がより激しいが、EVの税負担は、これを反映していない。また、優遇税制が自動車税収の減少につながることにより、道路や橋、トンネルなどのインフラ整備の財源が不足する恐れがあると指摘。これらを勘案すると、EV等については、出力等により、財産的価値や道路損傷その他の車両から生じる影響を適切に反映する形で税率を定めることが必要とした。

また、保有課税として毎年課税する種別割の性格や応益課税の観点から適切な税負担を求めるべきとした。現在、車体課税の税収約2.7兆円のうち地方財源は約2.3兆円を占めている。見直しは、環境に配慮した電気自動車の普及という時代の流れに逆行しそうだが、意見書では、「まずは最もインセンティブの働く購入時の補助金や、取得時課税である環境性能割がその役割を担うべき」との考えを示している。

2023年度地方税制改正等に関する地方財政審議会意見は↓
https://www.soumu.go.jp/main_content/000845938.pdf

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