帝国データバンクが発表した「インボイス制度に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1632社)によると、自社におけるインボイス制度への理解は、企業の76.6%が「理解している」と認識していた。その内訳は、「ある程度理解」は61.5%となったが、「十分に理解している」は15.1%にとどまった。他方で、企業の20.0%で「理解していない」とし、そのうちごく少数の0.3%にとどまるが、「言葉も知らない」企業も存在した。

自社におけるインボイス制度の登録状況については、企業の52.9%で「2022年9月時点までに申請済み」としていた。「2022年10月から2023年3月までに申請予定」(22.6%)と合わせると 2022年度中に申請する企業は75.5%となる見込み。企業からは「社内で十分に調査・把握し準備はできている」(電気計測器製造、東京都)といった声が挙がっている。一方で、「申請しない」企業は2.6%となった。

自社の取引先のインボイス制度への登録状況についての把握は、「取引先の登録状況を確認済み」の企業は3.8%にとどまったが、「現在、確認中」が25.4%、「制度開始までに確認予定」が45.8%となった。他方で、「特に確認しない」とする企業は14.5%あった。企業からは「田舎で少量の農作物を作って販売、漬物など加工販売していたお年寄り達が、小遣い稼ぎ程度の商売ができなくなる」(乾物卸売、石川県)といった声も挙げられた。

2023年10月の制度開始後における自社と免税事業者との仕入れ取引については、「取引しない」企業は7.5%となった。一方で、「経過措置期間は取引する」と考えている企業は 24.9%、「経過措置期間にかかわらず取引する」は26.2%。経過措置期間においては51.1%の企業で取引を行うとした。他方で、「分からない」とする企業が41.5%と多くの企業で、現時点では免税事業者との取引に関して対応を決めかねている様子もうかがえた。

調査結果からは、多くの企業はインボイス制度開始に対して準備を進めていることが分かった。また、取引先の多くに免税事業者を抱える企業では、消費税の仕入税額控除が受けられない可能性もあり、取引先への対応に苦慮している企業が一定数みられた。他方、国による周知が不足といった指摘の声も少なくない。制度開始まで1年を切ったなか、引き続き政府には広く情報が行き渡るよう、丁寧でわかりやすい情報発信が求められている。

同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p221107.pdf

提供:株式会社タックス・コム