財務省がこのほど公表した「2021事務年度(2021年7月~2022年6月までの1年間)に、全国の税関が行った輸入者の関税及び内国消費税の輸入申告に対する事後調査」結果によると、同事務年度は、1484者(対前年度比107.6%増)の輸入者に対して事後調査を行い、うち75.3%(同▲8.6ポイント)に当たる1118者(同86.3%増)の課税価格に申告漏れがあったほか、適用税率に誤りがあったことが明らかになった。

申告漏れ等に係る課税価格は591億920万円(対前年度比▲6.3%)となり、これに対する納付不足額は、関税が7億2200万円(同▲24.9%)、内国消費税が55億4024万円(同2.8%増)となり、追徴税額合計は64億5560万円(同▲3.6%)と、前年度に比べてやや減少している。追徴税額のうち、加算税は1億9336万円(同▲44.4%)、うち重加算税額は1156万円(▲91.1%)だった。

納付税額の不足が多かった品目は、「電気機器」が13億6千万円で最多、「光学機器等」8億8千万円、「医療用品」5億3千万円、「自動車等」4億3千万円、「機械類」4億1千万円と続き、これら5品目で、納付不足税額の総額の約6割を占めた。また、主な申告漏れ等の事例では、(1)輸出者又は輸入者が作成した低価インボイスによる輸入申告、(2)関税税率の適用誤り、(3)輸入貨物に係るロイヤルティの申告漏れ、などがあった。

重加算税が賦課された事例では、中国の輸出者から衣類を輸入していたAは、輸入申告前に正規の価格を認識していたが、正規の価格が記載されたインボイスをもとに、自ら正規の価格よりも低い価格でインボイスを作成し、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、低い価格が記載されたインボイスに基づき申告していた。その結果、申告漏れ課税価格1億1619万円に対し、追徴税額2947万円(うち重加算税727万円)が課された。

また、輸出者と共謀して偽った製造工程書を作成していた事例が報告されている。中国の輸出者から健康食品の原料を輸入していたBは、輸入申告前に輸入貨物には関税が課されることを認識していたが、輸出者と通謀し、虚偽の製造工程書を輸出者に作成させ、納付すべき税額の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、関税が課されない輸入貨物として申告していた。その結果、追徴税額264万円(うち重加算税21万円)が課された。

同輸入事後調査結果は↓
https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/ka20221109b3_all.pdf

提供:株式会社タックス・コム