マイナンバーカードの普及が課題になっているなか、11月2日に開かれた経済財政諮問会議において、民間議員が「マイナンバーの利活用拡大による国民の利便性向上に向けて」と題した提言を行った。提言は、冒頭で「骨太方針で掲げたマイナンバーを用いた所得・資産情報と社会保障制度・税制の連携は十分進んでいない。その背景には、国民の個人情報流出への懸念、利用にメリットが感じられないこと等がある」との考えを示した。

さらに、「政府は、マイナンバーの国民生活における利活用の促進について、データの利用方途や個人情報を守る方法、また、利便性が実現できる分野、という点について、しっかり国民に周知し、国民理解を得ていくべき」とし、「今後、人口減少、少子高齢化が急速に進む中で、応能負担を徹底した効率的な社会保障制度を実現することは待ったなしの課題であり、そのカギとなるのがマイナンバーの利活用だ」と指摘した。

提言は、マイナンバーの利活用拡大は、行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速し、国民生活の利便性を向上する重要な課題だとした上で、これに対応するため、マイナンバーを最大限活用した抜本的な制度の拡充は必要不可欠と主張した。このため、(1)マイナンバーがどのように利活用され、どういった利便性が実現するかという明確なビッグピクチャーの提示、データ利活用や個人情報保護に対する説明責任の充実。

さらに、(2)マイナンバーに紐づいた所得等各種情報の充実、(3)情報連携拡大に向けたマイナンバー制度の改善、(4)マイナンバー利活用を前提とした給付と負担の制度改革、といった4分野の取組みを並行して進める必要があるとした。こうした取組みを通じて、個人が利便性を実感できる制度改革を進め、国民的理解を前提に、マイナンバー利用による幅広いプラスの波及効果を発現させていく必要があると提言した。

マイナンバーに紐づいた所得等各種情報の充実では、現在利用可能な地方自治体の有する個人住民税情報は他の情報に十分紐づいておらず、より詳細な情報も活用できるように制度や体制の整備を図ることや、現在の地方税に基づく所得情報は当該年から半年~1年程度経過したもので、迅速な情報取得が難しいことから、国及び地方税当局との情報連携を強化し、所得把握の早期化を検討し、迅速な給付につなげるべきとした。

そのほか、現在、公金受取口座の登録が進められ、実際の登録は2000万口座に達しているが、大災害やコロナ禍といった事態に備えるためにも、口座登録を更に加速する取組みを行うべきことや、相続や所有者不明土地への対応という観点からも、固定資産等、実物資産情報とマイナンバーとの連携についても検討すべきことなどを提言している。

民間議員の提言は↓
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/1102/shiryo_03-1.pdf

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