金融庁はこのほど、ホームページ上に「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応における国税庁との更なる連携強化について」を公表した。「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品」については、2019年の国税庁による法人税基本通達改正の周知、いわゆる“バレンタインショック”以降、金融庁からも度々注意喚起を行い、監督指針の改正等を実施してきたところだ。

しかし、依然として、保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動が確認されており、保険契約者保護の観点で問題が生じている。そこで金融庁では、今後発生し得る保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動への対応として、国税庁との連携をさらに強化し、商品審査段階及びモニタリング段階での取組みを通じて、より一層の保険契約者保護を進めていくこととしている。

取組みの詳細として「国税庁との更なる連携強化について」のリーフレットが公表されている。それによると、商品審査段階では、(1)金融庁から保険会社に対して、国税庁への税務に関する事前照会を慫慂、(2)保険会社から同意を得た上で、必要に応じて、金融庁からも国税庁に事前照会を実施、(3)金融庁において、事前照会の結果を商品審査で参考情報として活用(事業方法書への募集管理態勢に関する記載の指導等)、などの連携を実施。

モニタリング段階では、(1)両庁の定期的な意見交換の場等を通じて、国税庁から金融庁に対して、保険商品に関する節税(租税回避)スキームの情報提供、(2)金融庁において、国税庁からの情報や独自に把握した情報を活用し、保険会社・保険代理店における募集管理態勢の整備状況や販売実態等のモニタリング等を実施、(3)金融庁から国税庁に対して、商品開発や募集現場で利用されるスキームの情報提供、などの連携を実施する。

また、金融庁では、保険会社及び保険代理店における保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動に関する情報を持っている人は情報提供窓口まで連絡するよう呼びかけている。なお、“バレンタインショック”とは、2019年当時、「節税効果がある」とされ中小企業向けに販売されていた「定期保険」が、国税庁による税務上の取扱いの見直しがなされたことで販売できなくなり、保険会社が大きな打撃を受けたというニュースのこと。

この件については↓
https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20220714-2/01.pdf

提供:株式会社タックス・コム