2022年度税制改正において、少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等が見直され、対象資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものが除外された。これを受けて、先日公表された法人税法基本通達等の一部改正では、一時的に貸付けの用に供した減価償却資産の判定及び主要な事業として行われる貸付けを例示している。

一時的に貸付けの用に供した減価償却資産については、同制度の適用上、法人が減価償却資産を貸付けの用に供したかどうかは、その減価償却資産の使用目的、使用状況等を総合勘案して判定されるものであるので、例えば、一時的に貸付けの用に供したような場合において、その貸付けの用に供した事実のみをもって、その減価償却資産が貸付けの用に供したものに該当するとはいえないことを留意的に明らかにしている。

また、少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の対象範囲から「貸付けの用に供した資産」が除外されたが、ここでいう“貸付け”の範囲から除かれている「主要な事業として行われる貸付け」を例示している。法人税基本通達では、新設項目として、主要な事業として行われる貸付けに該当するものとされる貸付けには、それぞれ下記に定めるような行為が該当することを例示的に明らかにしている。

それは、(1)企業グループ内の各法人の営む事業の管理運営を行っている法人がその各法人で事業の用に供する減価償却資産の調達を一括して行い、その企業グループ内の他の法人に対してその調達した減価償却資産を貸し付ける行為、(2)法人が自己の下請業者に対して、その下請業者の専らその法人のためにする製品の加工等の用に供される減価償却資産を貸し付ける行為。

さらに、(3)小売業を営む法人がその小売店の駐車場の遊休スペースを活用して自転車その他の減価償却資産を貸し付ける行為、(4)不動産貸付業を営む法人がその貸し付ける建物の賃借人に対して、家具、電気機器その他の減価償却資産を貸し付ける行為、の4行為を例示。これらは、主要な事業として行われる貸付けに該当することから、対象範囲から除かれる「貸付けの用に供した資産」には該当しないことになる。

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