国税庁は、納税者の利便性向上のためのオンラインによる税務手続きの推進と、デジタルの活用による内部事務(入力・審査等)や課税・徴収業務の効率化・高度化を両輪とする「税務行政のデジタル・ トランスフォーメーション(DX)」構想実現に向けた工程表をこのほど公表した。税務行政DXは、デジタルを活用した、国税に関する手続きや業務のあり方を抜本的に見直すものだ。

オンラインによる税務手続きの推進では、確定申告関係において、マイナポータル経由で申告データに自動入力できる仕組みの対象となるデータ(現在、生命保険料・住宅ローン・特定口座で実施済み)を、本年1月から地震保険料・ふるさと納税、2月から医療費、2023年1月から公的年金収入・社会保険料控除(国民年金保険料)に拡大する。マイナンバーカードを利用した申告の利便性向上のため本年10月から公金受取口座の利用が始まる。

申請関係をみると、本年5月から自身の申告事績を確認するための申告書等閲覧サービスの申請がオンラインで手続き可能となる。2023年1月からは、件数の多い手続きを中心に法定要件を満たしているか等の必要な項目をチェックするなど数回のクリックで手続きが完了するオンライン申請等ページと、e-Taxのアカウント画面で自身の申告履歴に加え、青色申告等の特例の適用状況を確認できるe-Taxマイページの提供が始まる。

納付関係では、キャッシュレス納付手段の多様化として、スマートフォンを使用した決済サービスが本年12月から導入される。一方、デジタル活用による業務の効率化・高度化では、内部事務のセンター化の推進や、照会等のオンライン化の推進、調査・徴収事務等税務執行への活用等を行う。内部事務のセンター化は、各税務署で行っている申告書の入力、申告内容等の照会文書の発送などの内部事務を業務処理センターで集約して行うもの。

内部事務のセンター化は、2026事務年度までに全ての税務署を対象とするよう順次拡大していく予定となっている。照会等のオンライン化は、申告書の審査や税務調査の際に金融機関に対して行っている預貯金情報の照会をオンライン化するもので、すでに昨年10月から実施され、本年1月からは税務調査等で提出を求められた資料のe-Taxでの提出が始まっている。

データ活用等による税務執行の効率化・高度化では、大規模法人を中心に納税者の機器・接続環境下でWeb会議システムを利用して実施中の「リモート調査」を、2022年度から国税庁が必要な機器等の整備をして拡大していく。

税務行政DX~構想の実現に向けた工程表は↓
https://www.nta.go.jp/information/other/data/r03/zeimugyosei/pdf/0021012-075.pdf

提供:株式会社タックス・コム