国税庁が、今年6月までの1年間(2019事務年度)において、2017年中に発生した相続を中心に、申告額が過少、申告義務がありながら無申告と思われるものなど1万635件(前事務年度比▲14.7%)を実地調査した結果、うち85.3%に当たる9072件(同▲15.1%)から3048億円(同▲13.8%)の申告漏れ課税価格を把握したことが明らかになった。加算税95億円を含む681億円(同▲3.8%)を追徴課税した。

実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格2866万円(前事務年度比1.0%増)、追徴税額641万円(同12.8%増)となる。また、申告漏れ額が多額だったことや、故意に相続財産を隠ぺいしたことなどにより重加算税を賦課した件数は1541件(同▲12.5%)で、その重加算税賦課対象額は572億円(同▲3.0%)。重加算税賦課割合(重加算税賦課件数1541件/申告漏れ等の非違件数9072件)は17.0%(同0.5ポイント増)だった。

申告漏れ相続財産の内訳をみると、「現金・預貯金等」が993億円(前事務年度1268億円)で全体の33.0%を占めて最も多く、続いて「土地」が373億円(同422億円、構成比12.4%)、「有価証券」が323億円(同388億円、同10.8%)、「家屋」が58億円(同69億円、同1.9%)のほか、「その他(不動産、有価証券、現金・預貯金等以外)」が1254億円(同1327億円、同41.8%)となっている。

一方、申告・納税義務があるのに申告しない者も後を絶たないが、無申告事案については、前事務年度より22.0%少ない1077件の実地調査を行い、うち85.5%に当たる921件(前事務年度比▲25.2%)から906億円(同▲21.1%)の申告漏れ課税価格を把握し、97億円(同▲4.3%)を追徴課税した。1件当たりの申告漏れ課税価格は8414万円と、相続税調査全体の1件当たり申告漏れ2866万円の約2.9倍にのぼる。

また、海外資産関連事案についても、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案などを積極的に調査。2019事務年度は、1008件(前事務年度比▲16.1%)の実地調査を行い、うち過去最多の149件(同3.5%増)から海外資産に係る申告漏れ課税価格77億円(同32.2%増)を把握し、うち11億円が重加算税賦課対象となっている。非違1件当たりの申告漏れ課税価格は5193万円と高額だ。

2019事務年度の相続税の調査状況は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf

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