先日発表された東京税理士会の2020年度「税務調査アンケート」では、税務調査期間は3ヵ月以内で終了との回答割合が約69%だったことなどが明らかになったが、同調査では書面添付制度についてもアンケートを行っている。調査結果(有効回答数378会員)によると、総申告件数2万6722件のうち、「書面添付をしている」ものは2756件となり、添付割合は10.3%となった。

書面添付割合を税目別にみると、「法人税(消費税含む)」が総申告件数1万1775件のうち書面添付した件数が1913件で16.2%、「所得税(消費税含む)」が同1万3968件のうち書面添付した件数が573件で4.1%と添付割合が低い。そのほか、「相続・贈与税」は同861件のうち書面添付した件数が270件で31.4%、「その他の国税」は同118件のうち書面添付した件数はなかった。なお、書面添付したが、「税務調査となった」ものが40件あった。

書面を添付している理由(複数回答)は、「税務調査の省略化」が63.0%で最多、次いで「業務品質の向上」(59.7%)、「顧問先に対するアピール」(46.2%)、「税理士の権利」(39.5%)、「業務上の責任範囲を明確化」(37.8%)、「金融機関に対するアピール」(12.6%)などが挙げられた。その他の理由(10.9%)としては、「相続税は、内容が複雑で説明資料の添付が必須となる」などの目的で積極的に制度を利用しているとの意見があった。

一方、書面を添付していない理由(複数回答)では、「時間や労力がかかり煩雑」が45.1%で最多、次いで「添付する効果が不明」(29.8%)、「報酬の請求が困難」(28.5%)、「科目内訳書及び概況書で充分」(25.8%)などが続いた。今後の利用意向(複数回答)は、「納税者から要望があれば利用したい」(31.5%)、「税目によって利用したい」(27.5%)、「普及率によって利用したい」(10.8%)が挙げられ、「利用したくない」は10.8%だった。

書面添付制度をより一層周知・普及させるため有用だと思われる施策(複数回答)は、「事例集の充実」が37.0%で最多、次いで「納税者への周知案内を作成」(25.1%)、「研修会の充実」(24.9%)、「制度の周知徹底」(24.9%)が続いた。東京会では、「書面添付制度を積極的に活用していくためには、制度の趣旨を税理士がよく理解することが肝要。引き続き、制度の研修等を充実させ、制度の普及・定着に努めていきたい」としている。

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