自民・公明両党は10日、2021年度の与党税制改正大綱を決定し公表した。来年度の税制改正では新型コロナウイルス感染症の影響で経済が落ち込むなか、厳しい経営環境を下支えするため、研究開発投資に対する税額控除の上限の引上げや繰越欠損金制度を拡充するほか、雇用を守り、賃上げを行う中小企業を対象にした所得拡大促進税制の延長などを盛り込んだ。個人所得課税についても住宅ローン減税を延長した。

固定資産税もコロナ禍前の地価上昇に対応するため、2021年度に限って固定資産税の上昇分を2020年度水準に据え置くなど、厳しい状況にある人々への対応を行っている。また、政府与党が掲げる「デジタル化」、「グリーン化」の方針に沿った攻めの視点からの新たな税制も創設。納税環境のデジタル化を進めるため、税務関係書類における押印義務も大幅に見直すなど、幅広い改正を含んでいる。

2021年度税制改正はコロナ禍による景気悪化への対応が目立つ。産業競争力強化のため、企業のDX(デジタル技術を活用した企業変革)を促進する措置等の創設や、研究開発税制の見直しがある。コロナ禍により売上が一定程度減少したにもかかわらず、研究開発投資を増加させた企業については、控除上限を法人税額の25%から30%に引き上げる。また、コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制を見直す。

中小企業の支援では、中小企業者等に係る軽減税率の特例、中小企業投資促進税制及び中小企業経営強化税制の適用期限を2年延長するほか、所得拡大促進税制は、適用要件を緩和した上で2年延長する。また、中小企業の経営資源の集約化に資する税制を創設し、経営資源の集約化によって生産向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業が、準備金を積み立てたときは損金算入を認めるなど、M&A後の積極的な投資や雇用の確保を促す。

個人所得課税では、住宅ローン減税について、13年間の特例を延長し、この延長した部分に限り、合計所得金額1000万円以下の者については床面積40平方メートルから50平方メートルまでの住宅も対象とする特例措置を講ずる。教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、適用期限を2年延長するが、結婚・子育て資金の一括贈与は、次の適用期限到来時に、制度の廃止も含め改めて検討する。

そのほか、納税環境のデジタル化の観点から、税務関係書類における押印義務を見直す。具体的には、税務手続きの負担軽減のため、税務署長等に提出する国税関係書類のうち納税者等の押印を求めているものについては、現行において実印による押印や印鑑証明書の添付を求めているもの等を除き、押印義務を廃止する。地方公共団体の長に提出する地方税関係書類についても、国税と同様、押印義務を廃止する。

2021年度税制改正大綱は↓
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/200955_1.pdf

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