政府が12月1日の成長戦略会議で取りまとめた成長戦略の実行計画では、2050年カーボンニュートラル実現に向け革新的なイノベーションに取り組む企業やデジタル化に取り組むビジネスモデル、中小企業の合併などの規模拡大等に対して税制上の支援措置を検討し、2021年度税制改正で結論を得ることを明記した。同会議は、実行計画を断固たる意志を持って実行に移すとしている。

温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルについて、我が国は2050年までに脱炭素社会の実現を目指している。カギとなるのは、次世代型太陽電池、カーボンサイクル、水素を始めとした、革新的なイノベーションだ。そこで、省電力性能が非常に高いパワー半導体や新型リチウムイオン蓄電池等の脱炭素化の効果が大きい製品の生産設備に対する投資減税が検討される。

また、コロナ禍の厳しい経営環境の中で、カーボンニュートラル実現に向けた投資やデジタル・トランスフォーメーション(DX)投資等に企業が取り組んだ場合、ウィズコロナの期間に限り、赤字でも、こうした投資に果敢に挑む企業に限り、繰越欠損金の控除上限を引き上げるなどの措置を検討する。欠損金の繰越控除の控除上限は、現在、中小企業が所得の100%であるのに対し大企業は50%までとなっている。

ビジネスの質を高めるために、クラウドサービスや人工知能(AI)などに投資するのがDX投資だが、日本企業は、業務オペレーションの改善が多く、海外企業と比べて構造変化への対応が遅れている。そこで、クラウド型システムの活用が不可欠だが、クラウドシステムの導入や導入に伴う関連投資をした場合、我が国の税制は、これに対応できていないことから、企業によるDX投資についての税制措置を検討する。

一方、後継者問題に悩まされている企業が黒字廃業することなく、価値ある事業を存続させるには、M&Aを含む事業承継を通じて、企業規模の拡大に貢献する道筋を用意していくことが重要との指摘がある。そこで、中小企業の合併を通じた規模拡大等による生産性向上を進めるため、経営資源の集約化(M&A)を税制面でも支援することが重要であることから、譲渡を受ける中小企業に対する税制措置を検討する。

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