財務省が公表した、2020年9月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、前年度末(2020年3月末)からは75兆3761億円増えて1189兆9160億円となり、過去最大を更新した。新型コロナウイルス感染の拡大を受けて編成された今年度の2次補正予算では、約32兆円の追加歳出の財源を全て国債の発行に頼っており、さらに今後の経済対策への財政出動が予想され、国の財政はより厳しい状況になりそうだ。

9月末の国の借金は、2020年3月末に比べ、国債は約17.2兆円増の約1004.8兆円で全体の約84%を占め、うち普通国債(建設国債+赤字国債)は、約7.7兆円増の約894.4兆円となった。その内訳は、長期国債(10年以上)が約6.1兆円増加して過去最大の約705.3兆円、短期国債(1年以下)も約7.3兆円増の約31.1兆円となったものの、中期国債(2年から5年)が▲約5.7兆円減の約158兆円となり、全体の増加を抑制した。

この「国の借金」1189兆9160億円は、2020年度一般会計補正後予算の歳出総額160兆2607億円の約7.4倍、同年度税収見込み額63兆5130億円の約18.7倍である。年収500万円のサラリーマンが9350万円の借金を抱えている勘定だ。また、わが国の今年11月1日時点での推計人口1億2577万人(総務省統計、概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2020年3月末時点の約885万円から約946万円に増加している。

わが国の公債残高(普通国債残高)は年々増加の一途を辿っているが、2020年9月末実績の公債残高約894.4兆円が、2020年度末(2次補正予算ベース)では約963.6兆円が見込まれる。2020年度一般会計税収予算額約64兆円の約15年分に相当し、国民1人当たり約766万円、4人家族で約3064万円にのぼり、将来世代に大きな負担を残すことになる。ちなみに、国及び地方の長期債務残高は2020年度末で約1182兆円にのぼる見込み。

2020年9月末現在の国債及び借入金等の現在高は↓
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/202009.html

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