国税庁がこのほど公表した2019事務年度の法人税等の調査事績によると、今年6月までの1年間(2019事務年度)においては、あらゆる資料情報と提出された申告書等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人7万6千件について実地調査を実施した。その結果、申告漏れ所得金額は7802億円、追徴税額(法人税・消費税)は2367億円となっている。

申告内容に誤り等が想定される納税者等に対しては、「簡易な接触」により、自発的な申告内容等の見直し要請を4万4千件実施。その結果、申告漏れ所得金額は42億円、追徴税額は27億円となっている。簡易な接触とは、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するもの。

源泉所得税については、実地調査の件数は9万件であり、源泉所得税等の非違があった件数は2万9千件、追徴税額は296億円。簡易な接触の件数は13万9千件であり、追徴税額は70億円となっている。以上のように、法人税等の調査は、調査必要度の高い法人を的確に絞り込み厳正な調査を実施しており、2019事務年度の調査1件当たりの追徴税額は347万円で、連年増加している。

不正を業種別(調査件数350件以上)にみると、不正発見割合の高い10業種では、「バー・クラブ」が63.5%で18年連続のワースト1位。「バー・クラブ」は、近年25年間で24回1位(唯一2001年度がワースト2位)という不名誉な記録を持つワースト業種の常連。以下、前年4位の「その他の飲食」(42.9%)、同2位の「外国料理」(42.3%)、同7位の「パチンコ」(31.5%)、同3位の「大衆酒場、小料理」(30.8%)の順で続く。

また、1件あたりの不正所得金額が大きい10業種では、1位は前年ランク外の「その他の飲食料品小売」の5812万円、2位は同ランク外の「電子機器製造」(5197万円)、同7位の「建売、土地売買」(4077万円)、4位は同ランク外の「鉄鋼製造」(3875万円)、5位は同ランク外の「不動産代理仲介」(3263万円)と続く。不正発見割合でワースト1位の「バー・クラブ」は1910万円でランク外だった。

同調査事績の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf

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