国税庁はこのほど、「2021年版 源泉徴収のあらまし」を公表した。これは、源泉徴収事務に携わる人に2021年における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解してもらうために、2020年8月1日現在の所得税法等関係法令の規定に基づき作成されたもの。冒頭の「税制改正等の内容」では、まず、2020年度税制改正において見直された(1)未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除が解説されている。

未婚のひとり親に対する税制上の措置は、婚姻をしていない又は配偶者の生死の明らかでない人のうち、生計を一にする子がいること、合計所得金額が500万円以下等の要件を満たすものについては「ひとり親控除」として総所得金額等から35万円を控除するもの。2020年分以後の所得税について適用される。これまで「婚姻」を前提としてきた寡婦(寡夫)控除を大きく見直し、家族の形の多様化に対応した画期的な改正といえる。

「税制改正等の内容」では、そのほか、(2)非居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用、(3)新NISAの創設、(4)NISAの見直し、(5)ジュニアNISAの見直し、(6)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等の見直し、(7)利子等又は配当等の受領者の告知制度等の見直し、(8)特定譲渡制限付株式等の見直し、(9)源泉徴収における推計課税、(10)国税の消滅時効についての所要の整備、等について詳しく解説されている。

源泉徴収における推計課税については、源泉徴収義務者が給与等の支払に係る所得税を納付しなかった場合には、その給与等の支払に関する規程並びにその給与等の支払を受けた者の労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度により、その給与等の支払の日を推定し、又はその給与等の支払を受けた者ごとの給与等の支払金額を推計して、源泉徴収義務者からその給与等に係る所得税を徴収することができるなどの措置が講じられた。

国税の消滅時効については、期限到来間際にされた申告に係る加算税の賦課決定期限を見直すもの。国税の賦課と徴収には原則5年の期間制限があり、この期限を過ぎたら国は権利を行使できなくなるが、改正により、期限前3ヵ月以内にされた納税申告書の提出や源泉所得税等の納付にかかる無申告加算税又は不納付加算税の賦課決定について、その提出または納付された日から3ヵ月を経過する日まで行うことができるようになった。

この件の詳細は↓
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2020/index.htm

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