財務省がこのほど公表した「2019事務年度(2019年7月~2020年6月までの1年間)に、全国の税関が行った輸入者の関税及び内国消費税の輸入申告に対する事後調査」結果によると、同事務年度は、3361者(対前年度比▲17.6%)の輸入者に対して事後調査を行い、うち81.0%(同1.8ポイント増)に当たる2723者(同▲15.7%)に課税価格に申告漏れがあったほか、適用税率に誤りがあったことが明らかになった。

申告漏れ等に係る課税価格は約1231億2300万円(対前年度比▲20.5%)となり、これに対する追徴税額は、関税が約12億4838万円(同2.1%増)、内国消費税が約99億5635万円(同▲20.2%)と、内国消費税は減少したものの、合計約116億7156万円(同▲18.7%)と、依然100億円を超えている。追徴税額のうち、加算税は約4億6682万円(同▲29.1%)、うち重加算税額は5540万円(27.3%増)だった。

納付税額の不足が多かった品目は、「電気機器」が約22億7千万円で最多、「光学機器等」約19億2千万円、「機械類」約14億5千万円、「たばこ」約6億3千万円、「プラスチック」約5億円と続き、これら5品目で、納付不足税額の総額の約6割を占めた。また、主な申告漏れ等の事例では、(1)輸出者又は輸入者が作成した低価インボイスによる輸入申告、(2)インボイス記載の決済金額以外の貨物代金の申告漏れ、などがあった。

重加算税が賦課された事例では、中国の輸出者から衣類を輸入していたAは、輸入申告前に正規の価格を認識していたが、輸出者と通謀し、輸出者に正規の価格よりも低い価格でインボイスを作成させ、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、低い価格が記載されたインボイスに基づき申告していた。その結果、申告漏れ課税価格1億957万円に対し、追徴税額2762万円(うち重加算税687万円)が課された。

また、中国の輸出者からプラスチックペレット等を輸入していたBは、輸入申告前に正規の価格を認識していたが、正規の価格が記載されたインボイスをもとに自ら正規の価格よりも低い価格でインボイスを作成し、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、低い価格が記載されたインボイスに基づき申告していた。その結果、申告漏れ課税価格5107万円に対し、追徴税額859万円(うち重加算税217万円)が課された。

同輸入事後調査結果は↓
https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/collection/ka20201104b.htm

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