会計検査院が10日に公表した2019年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは248件、297億2193万円(231件分)だった。前年度に比べ、指摘件数は87件減少して直近の10年間では最少となり、指摘金額では前年度から約70%減少した。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、検査官による実地検査が大幅な縮小を余儀なくされた影響。

財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の過不足1億7831万円(前年度:2億1279万円)が指摘された。49税務署において、納税者86人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が85事項、1億7163万円、徴収過大が1事項、668万円だった。前年度は、58署において徴収不足が78事項、2億1212万円、徴収過大は1事項、67万円だったので、徴収不足は約19%減少したことになる。

徴収が過不足だった86事項を税目別にみると、「法人税」が33事項(うち1事項は徴収過大668万円)で徴収不足が7873万円と最も多く、以下、「消費税」23事項、同3532万円、「申告所得税」18事項、同3302万円、「相続・贈与税」11事項、同2373万円、「源泉所得税」1事項、同81万円だった。これらの徴収過不足額については、会計検査院の指摘後、全て徴収決定または支払決定の処置がとられている。

法人税では、徴収過不足33事項のうち、受取配当等の益金不算入に関するものが14事項と法人税全体の4割強を占め、法人税額の特別控除に関するものが9事項及びその他に関するものが10事項だった。例えば、A社は、2016年7月から2017年6月までの事業年度分の申告に当たり、非支配目的株式等に係る受取配当等の額を1億4141万円として、同金額の20/100相当額2828万円を受取配当等の益金不算入額としていた。

しかし、上記受取配当等の額には、受取配当等の益金不算入の対象とならない証券投資信託の収益の分配金が含まれていたことなどから、当該事業年度分の所得の金額が過小となっているのに、これを見過ごしたため、法人税額661万円が徴収不足になっていた。

財務省に対する不当事項(租税の徴収額に過不足)は↓
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary01/pdf/fy01_futo_170.pdf

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