今年6月末現在の法人数は前年から1.1%増の316万5千法人で、うち2019年度内に決算期を迎え今年7月末までに申告した法人は、同0.7%増の294万9千法人だったことが、国税庁が5日に発表した2019事務年度の法人税等の申告事績で分かった。その申告所得金額は同▲11.4%の65兆52億円と10年ぶりに減少し、申告税額の総額も同▲9.7%の11兆5546億円と3年ぶりに減少。新型コロナ感染症に伴う景気後退の影響とみられている。

法人の黒字申告件数は104万2千件(前年対比2.5%増)で、黒字申告割合は前年度を0.6ポイント上回る35.3%となり、9年連続で上昇した。黒字申告割合は2014年度以降6年連続で30%台となった。もっとも、法人の黒字申告割合は、過去最高だった1973年度(65.4%)の半分前後の低い数字が、1993年度から27年も続いていることになり、法人の黒字申告割合はいまだ低水準が続いている。

黒字法人の申告1件あたりでは前年度に比べて▲13.5%の6238万5千円となって、黒字とはなっているものの法人ごとの所得金額は減っている。一方で、申告欠損金額は同13.5%増の14兆8149億円、赤字申告1件あたりの欠損金額も同13.8%増の776万7千円と、ともに増加した。ちなみに、申告欠損金額のピークは1999年度の33兆2791億円だったので、2019年度は約45%まで減少している。

今年6月末現在の連結法人数は、親法人が1902法人(前年対比2.8%増)、子法人が1万4470法人(同3.2%増)の計1万6372法人(同3.1%増)だった。このうち、7月末までに申告した親法人は1737件(同▲2.6%)で、その黒字申告割合は前年度に比べ▲3.0ポイント減少の62.1%。申告所得金額は同▲17.8%の11兆3815億円となり、申告欠損金額も同65.2%増の2兆5793億円と大幅に増加する結果となった。

連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみると、届出件数1万4555件(前年対比▲4.5%)のうち、黒字分は65.4%にあたる9520件(同▲7.0%)、赤字分が5035件だった。連結納税でなければ、黒字申告割合は6割半ばに達し、総個別所得金額も14兆1326億円(同▲13.0%)にのぼる。企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる連結納税の効果は大きいことがうかがえる。

なお、2019年度の法人税申告におけるe-Taxの利用件数は236万9千件で、前年度比4.4%増加しており、利用率は前年度に比べ2.8ポイント上回る87.1%まで上昇。この要因としては、今年4月からの大法人へのe-Tax義務化が大きいが、国税当局による大法人を含む全ての法人に利用を促すために順次実施してきた、データ形式の柔軟化や提出方法の拡充、提出先の一元化、認証手続きの簡便化等の各種施策も効果が出ているようだ。

2019事務年度の法人税等の申告事績の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/hojin_shinkoku/pdf/hojin_shinkoku.pdf

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