国税庁はこのほど、2020年1月から6月の相続では路線価等の減額補正を行わないことを公表した。2020年分の路線価及び評価倍率を記載した路線価図等は7月1日に国税庁ホームページで公開した。路線価等は、1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格(時価)の80%程度を目途に評価しているが、公開時に、地価が大幅に下落する恐れがある場合は減額補正を検討するとしていた。

それは、「今後、国土交通省が発表する都道府県地価調査(7月1日時点の地価を例年9月頃に公開)の状況などにより、広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合などには、納税者の申告の便宜を図る方法(減額補正)を幅広く検討する」と発表していたもの。しかし、国土交通省より発表された都道府県地価調査や国税庁が外部専門家に委託した調査では、大幅な地価下落の状況は確認されなかったことから減額補正は不要と判断した。

国土交通省より発表された都道府県地価調査によると、2019年7月以降1年間の地価について、全国平均では、全用途平均は0.6%の下落、また、2020年1月以降の半年間(地価公示との共通地点)の全国平均の地価変動率は、住宅地は0.4%の下落、商業地は1.4%の下落とされている。加えて、外部専門家に委託した調査でも、1月から6月までの間に、相続等により取得した土地等の路線価等 が時価を上回る状況は確認でなかったとした。

こうしたことから、1月から6月までの相続等については、路線価等の補正は行わないとした。なお、納税者が不動産鑑定士による鑑定評価額などに基づき、相続等により土地等を取得した時の時価により評価もできること、また、7月から12月までの相続等適用分に、 広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合の路線価等を補正するなどの対応は、今後の地価動向の状況を踏まえ、後日、改めて知らせるとしている。

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