国税庁が5日に発表した2021年度機構・定員要求によると、同年度の定員要求については、(1)軽減税率制度実施等、(2)租税回避等、(3)「新たな日常」の実現への各対応等の観点から、1227人の増員要求を行った。一方で、2021年度の国税庁の定員合理化目標数が1143人とされており、差し引き84人の純増要求数となった。定員が純増となるのは5年連続。この結果、要求が通れば2021年度の定員は5万6037人となる。

主な機構要求をみると、ICT化への対応のため、国税庁に課長補佐を、東京局に主任査察情報技術専門官(仮称)を置く。国際化への対応のため、大阪局に国際管理官、東京局に特別国税徴収官を置く。調査・徴収事務の複雑化等への対応として、国税局に納税専門官(仮称)、税務署に消費税専門官(仮称)を新設する。そのほか、業務センター室(仮称)開設への対応のため、各局に業務センター室(仮称)や統括国税管理官(仮称)等を新設する。

また、定年後、年金を受給するまでの間の経済的穴埋めとして、国家公務員の再任用が行われているが、一般職員はもとより、いわゆる「あっせん」がなくなったことから、指定官職も再任用となるケースが珍しくなくなった。そこで、これらの職員に対して、再任用短時間勤務職員用ポストとして、国税局に主任国税管理官(仮称)、納税管理官(仮称)を新設し、税務署に特別国税調査官を増設する。

なお、国税庁が同日に公表した2021年度予算概算要求額によると、緊縮財政の中で税務行政といえども必要経費を十分に確保することは難しいなか、2021年度は、2020年度当初予算額に比べ2.1%増の約7343億円を求めた。国全体の歳出削減が厳しく求められるなかで、税務行政の一層の適正な執行を確保し、適正・公平な課税の実現や歳入確保の要請に応えるためのギリギリの要求ということになる。

機構・定員要求は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0020009-063.pdf

国税庁関係予算概算要求額は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/yosan_gaisan/index.htm

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