10月1日から、年末調整の電子化に対応した税務上の便利な機能が続々とスタートした。国税庁は、ホームページ上で「2020年分からの年末調整の簡便化について」を公表し、10月1日に公開された年末調整電子化に対応した年調ソフト(年末調整控除申告書作成用ソフトウェア)や、同じく10月1日からスタートしたマイナポータル連携、AIチャットボットによる税務相談の開始について解説している。

年調ソフトは、年末調整手続きの際に従業員が作成する保険料控除申告書等を作成するためのソフトウエア。いくつかの質問に答えることで作成すべき控除申告書がわかる「控除ナビ」機能があるほか、保険料控除申告書について控除証明書に記載された情報を入力すると控除額を自動計算したり、扶養控除等申告書について扶養親族の生年月日を入力すると特定扶養親族の該当有無などを自動判定したりする機能が備わっている。

10月1日からスタートした機能がもう一つある。マイナポータル連携による年末調整の簡便化だ(確定申告の簡便化は2021年1月に開始)。政府が運営するオンラインサービス、マイナポータルと連携することで、控除証明書等の必要書類のデータを一括取得して各種申告書を自動入力(マイナポータル連携)できるようになる。マイナポータル連携による納税者のメリットは少なくない。

例えば、保険会社の保険料控除証明書、銀行の年末残高証明書、証券会社の年間取引証明書などをマイナポータルからまとめてデータで取得し、年末調整の控除申告書や確定申告書に自動入力。面倒だった個別の作業や書類チェック、検算等の手間が削減される。マイナポータル連携で自動入力される情報は今後順次拡大し、2021年分からは医療費関係、ふるさと納税、地震保険控除証明等、2022年分以降は社会保険や源泉徴収票等が対応予定だ。

このほか、10月28日からチャットボットによる税務相談がスタートする。チャットボットとは「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、人工知能を活用した自動会話プログラムのこと。質問したい内容をメニューから選択するか文字で入力すると、AIチャットボットの「税務職員ふたば」が24時間いつでも自動回答する。対応するのは年末調整の相談。2021年1月中旬からは所得税の確定申告の相談も開始する予定だ。

「2020年分からの年末調整の簡便化について」は↓
https://www.nta.go.jp/information/other/0020009-104.pdf

提供:株式会社タックス・コム