国税庁はこのほど、「国税庁における新型コロナウイルス感染症の感染防止策について」と題して、窓口業務や調査・徴収事務における感染防止策を公表した。国税局(所)・税務署では、新型コロナ感染拡大防止のため、職員一人ひとりが感染防止の3つの基本、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いを徹底し、業務運営に当たっても「3密(密集、密接、密閉)」を避ける等の「新しい生活様式」に基づく各種の感染防止策を徹底している。

窓口業務における感染防止策としては、人との間隔を1~2メートル空け、会話の際は可能な限り真正面を避ける、執務中のマスクの着用の徹底、手洗い(手指消毒)の徹底、毎朝の体温測定と咳・発熱等の有無の確認(発熱等の風邪症状のある者は事務に従事しない)、総合窓口周辺の窓や扉を開け定期的に換気、日々の窓口カウンターや面接ブースの消毒、等を徹底している。

また、調査・徴収事務における感染防止策では、調査・徴収事務担当者は、納税者宅等へ赴く前に、検温の実施、手洗い(手指消毒)の実施、咳・発熱等の有無の再確認等を行い、管理者の確認を受ける。そして出張先(調査や徴収の訪問先)では、(1)マスクの着用の徹底(納税者等にも協力を依頼)、(2)応対時には一定程度の距離を保ち、会話の際は可能な限り真正面を避ける、(3)窓や扉を開け定期的に換気、を掲げている。

さらに、(4)職員の人数や滞在する時間を可能な限り最小限にする、等の感染防止策を挙げている。ここでいう「職員の人数や滞在する時間を可能な限り最小限にする」が気になるところだが、決して調査が甘くなるというわけではないので注意が必要だ。元国税調査官は、「実地調査の時間を最小限にするということは、事前の机上調査等で相当調べ尽くしているということ。ごまかしは全くきかないと思っておいたほうがいい」と語る。

コロナ禍における税務調査は、感染防止策に最大限の注意を払いながら、調査効率を上げる工夫をしつつ粛々と行われるようだ。新聞報道によると、「全国の税務署や国税局が新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月から中止していた新規の訪問税務調査を再開させる。国税側が納税者に電話で調査を受けてもらえるかどうかを確認し、10月から再開する見込み」という(日本経済新聞9月23日朝刊)。

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