所得税法や法人税法の規定により売買があったものとされるリース取引について、賃貸人においては、原則として、賃貸人が賃借人にその取引の目的となる資産の引渡し(「リース譲渡」)を行った日に資産の譲渡があったことになる。したがって、事業者が行ったリース譲渡が課税資産の譲渡等に該当する場合には、そのリース資産の譲渡対価の全額がその引渡しを行った日の属する課税期間における資産の譲渡等の対価の額に含まれる。

また、事業者がリース取引について所得税法や法人税法の所得金額の計算において延払基準の方法により経理することで、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例の適用を受けている場合には、消費税についてもこの特例の適用を受けることができる。延払基準の方法とは、リース譲渡の日の属する事業年度以後の各事業年度において、リース譲渡に係る対価・原価の額に賦払金割合を乗じて計算した金額を収益・費用の額とする方法をいう。

この場合には、リース譲渡をした日の属する課税期間にリース料の支払期日の到来しないものに係る部分は、その課税期間に資産の譲渡等を行わなかったとみなしてその部分に係る対価の額をその課税期間のリース譲渡に係る対価の額から控除できる。資産の譲渡等を行わなかったとみなされた部分は、その翌課税期間以後、そのリース料の支払期日の到来する日の属する課税期間に資産の譲渡等を行ったものとみなされる。

以上がリース取引の賃貸人における処理だが、他方、リース取引の賃借人における処理については、リース取引による資産の譲受けが課税仕入れに該当する場合には、その課税仕入れを行った日はそのリース資産の引渡しを受けた日となる。したがって、その課税仕入れについては、そのリース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において仕入税額控除の規定の適用を受けることになる。

なお、リース取引の賃貸人が上記のリース譲渡に係る譲渡等の時期の特例の適用を受ける場合であっても、そのリース取引の賃借人の課税仕入れの時期はそのリース資産の引渡しを受けた日となる。また、リース取引の契約においてリース料のうち利子に相当する部分とそれ以外の部分に区分表示されている場合には、利子に相当する部分は非課税となるので、その部分は課税仕入れとはならない。

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