税金が未納だったり不足しているのに放置していると、様々なペナルティが課されてしまうが、税金を納め過ぎたにもかかわらず放置していても救済されることはない。納税者が自ら対処する必要がある。例えば、源泉所得税を毎月納付している会社がX月分からダイレクト納付を始めたが、引き落とされることを忘れてしまい、それまで通り銀行窓口でも納付してしまって、口座からも引き落とされX月分を二重に払ったってしまったケースがある。

このような場合、2つの方法がある。1つ目は「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額還付請求書」という書類を作成し、源泉所得税を納付したときの「徴収高計算書」の写し(領収書)と誤りが生じた事実を記載した帳簿書類の写し(預り金の元帳、源泉徴収簿など)を添付して所轄の税務署長に提出することで過誤納金の還付を請求する方法だ。提出期限に制限はないが、5年で時効となるので注意が必要だ。

ちなみに、多く支払ってしまった理由として、(1)源泉徴収義務者における源泉所得税及び復興特別所得税額の計算誤り等による過誤納金、(2)支払額が誤払等により過大であったため返還を受けたことによる過誤納金、(3)支払額が条件付のものであったため返還を受けたことによる過誤納金の3つの類型がある。上記のケースでは(1)~(3)のどれにも当てはまらないが、基本的には還付請求をすることになると思われる。

もう1つの方法は、誤って納めた源泉所得税等が給与や賞与に係るものであるときに限るが、「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額充当届出書」という書類を作成し、「徴収高計算書」の写し(領収書)や誤りが生じた事実を記載した帳簿書類の写しを添付して所轄の税務署長に提出することで、その過誤納金に相当する金額を、届出書を提出した日以後に納付すべきこととなる給与や賞与に対する源泉所得税等の額から控除する方法だ。

払い過ぎた分は次回以降の支払い時に充当することになる。充当がおおむね3ヵ月以上の長期間にわたる場合は、1つ目の方法の還付請求書で還付請求をする形になる。届出書の提出期限については特に定めはないが、過誤納額還付請求書の提出の場合と同様に、5年の時効期間には注意が必要だ。以上のように、払い過ぎてしまっても救済されるが、余分な手間をかけないためにも、計算が間違っていないか等の確認を必ずしてほしい。

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