総務省はこのほど、経年累進分を新たに加えた新潟県柏崎市の「使用済核燃料税」(法定外普通税)の新設に同意した。柏崎市では、新たな使用済核燃料税を定めた条例案を本年4月に市議会で可決していた。本年10月1日から条例を施行する予定。柏崎市では、使用済核燃料税の経年累進課税化は、「柏崎に使用済核燃料を長くとどめさせない」という同市の意思を示すものとの考えを示している。

現在、使用済核燃料税は、2003年度から課税を始めた柏崎市のほか、玄海町(佐賀県)が法定外目的税として2017年度から、薩摩川内市(鹿児島県)、伊方町(愛媛県)が法定外普通税として各2004年度、2018年度から、それぞれ各電力会社に課税している。しかし、どの自治体も課税客体・課税標準としているのは、発電用原子炉施設で保管する使用済核燃料の重量又は使用済燃料集合体の数量だけだ。

これに対して、柏崎市が新たに導入する使用済核燃料税は、従来分(基本分=重量1キログラムにつき現在480円、変更後620円)に、発電用原子炉施設における搬出が可能になった年の翌年以後において保管する使用済核燃料(保管期間15年以上)の重量1キログラムにつき、1年目50円、2年目100円、3年目150円、4年目200円、5年目250円(5年を上限)を加算する経年累進分が上乗せされるもの。

これにより柏崎市は、平年度7億8732万円の税収を見込んでいる。また、使用済核燃料税の使途は、これまで、原子力発電所に対する安全対策、生業安定対策や民生安定対策など、原子力発電所との共生に必要な費用に限定する法定外目的税としていた(2018年度は、事業費16億3811万円のうち、5億7495万円(約35%)を使用済核燃料税で賄った)。しかし、今回は、使途が広がる法定外普通税に変更している。

柏崎市では、「使用済核燃料の処理・処分が一向に進まず、発電所全体の管理容量の約81パーセントもの使用済核燃料が、発電所構内の燃料プールの中で、長い間保管されている現状は、明らかに正常な状態ではない」と指摘。「使用済核燃料税の経年累進課税化は、東京電力にも、国にも、『柏崎に使用済核燃料を長くとどめさせない』という強いメッセージを伝えることができる」との考えを示している。

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