国税庁においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、納税が困難な納税者に対し、納税の猶予等の納税緩和措置を適切に適用していく方針としているが、同庁がこのほど公表した2020年4月30 日に施行された「納税の猶予制度の特例」(特例猶予)の適用状況によると、2020年4月30日から6月30日までに猶予申請を許可した件数は9万5903件でその税額は2617億7700万円だった。

特例猶予は、2020年2月1日から2021年2月1日までに納期限が到来する所得税、法人税、消費税等ほぼすべての税目(印紙で納めるもの等を除く)が対象になるが、このうち、既に納期限が過ぎている未納の国税(他の猶予を受けているものを含む)についても、遡ってこの特例を利用することができる。このため、今回の計数には、遡及申請分の一部が含まれていないことに留意する必要がある。

納税猶予制度の特例は、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年2月以降の収入に相当の減少があり、税金の納付が困難な事業者等に対し、無担保かつ延滞税なしで1年間納税を猶予するもの。2020年2月以降の任意の期間(1ヵ月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること、一時に納税を行うことが困難、のいずれも満たす納税者(個人法人の別、規模は問わず)が対象となる。

また、税金の納付が困難の判断については、納付すべき国税を納付する資金がないことや、納付すべき国税を納付する資金を納税者の事業の継続のために必要な少なくとも今後6ヵ月間の運転資金並びに納税者及び納税者と生計を一にする配偶者その他の親族の生活の維持のために必要な少なくとも今後6ヵ月間の費用に充てた場合に国税を納付する資金がないことなど、少なくとも向こう半年間の事業資金を考慮に入れる。

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