国税庁がこのほど公表した2019年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が1999年度以降21年連続で減少したことが明らかになった。新規発生滞納額は前年度に比べ10.0%減の5528億円と4年連続で減少した上、整理済額が6091億円(前年度比7.1%減)と新規発生滞納額を大きく上回ったため、今年3月末時点での滞納残高も6.9%減の7554億円と21年連続で減少した。

今年3月までの1年間(2019年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約29%まで減少。また、2019年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額(61兆7896億円))は0.9%となり、2004年度以降、16年連続で2%を下回って、国税庁発足以来、最も低い割合となっている。この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約27%まで減少した。

税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比9.0%減の3202億円と4年連続で減少したが、税目別では15年連続で最多、全体の約58%を占める。一方で、整理済額が3438億円と上回ったため、滞納残高は8.1%減の2668億円と、20年連続で減少した。法人税は、新規発生滞納額が同9.7%増の765億円と3年連続で増加し、整理済額が738億円と下回ったため、滞納残高も2.9%増の946億円と2年連続で増加した。

国税庁は、(1)新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」での整理、(2)処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理、(3)財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理することで、効果的・効率的に処理している。

こうした厳正・的確な滞納整理を実施したことで、滞納残高は21年連続で減少したわけだが、消費税が新規発生滞納額全体の6割近くを占めているため、消費税の滞納は全体の滞納額に影響する。1997年と2014年の消費税率引上げ後には消費税の新規発生滞納額が増加した。昨年10月には消費税率が10%に引き上げられたが、消費税の新規発生滞納は前年度比10.0%減に抑えられ、滞納残高減少に寄与したとみられる。

2019年度租税滞納状況の詳細は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0020007-131a.pdf

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