連結納税制度が見直されグループ通算制度へ移行される改正が行われたが、移行に伴う改正事項のうち、(1)受取配当等の益金不算入、(2)寄附金の損金不算入、(3)貸倒引当金、(4)資産の譲渡に係る特別控除額の特例については、連結納税制度又はグループ通算制度の適用を受けない法人についても適用される。なお、連結納税制度の見直しに伴う改正については、6月3日現在、法律のみ公布されており、政令及び省令については後日公布される。

(1)の受取配当等の益金不算入については、関連法人株式等に係る負債利子控除額が、関連法人株式等に係る配当等の額に係る利子相当額として一定の金額とされた。配当等の額に係る基準日等は、配当等を受ける者を定めるための会社法に規定する基準日(株式会社以外の法人がする配当等については基準日に準ずる日とし、基準日又は基準日に準ずる定めのないものについては配当等がされる日)であることが明確化された。

さらに、関連法人株式等又は非支配目的株式等に該当するかどうかの判定について、完全支配関係がある他の法人の有する株式等を含めて判定することとされた。また、(2)の寄附金の損金不算入では、寄附金の損金算入限度額の計算の基礎となる資本金等の額について、資本金の額及び資本準備金の額の合計額とされた。(3)の貸倒引当金では、貸倒引当金の対象となる金銭債権から完全支配関係がある他の法人に対して有する金銭債権が除外された。

(4)の資産の譲渡に係る特別控除額の特例については、法人及び当該法人との間に完全支配関係がある他の法人(改正前:連結親法人及び当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人)の調整前損金算入額が定額控除限度額(年5000万円)を超える場合には、その超える部分の金額を損金の額に算入しないこととされた。これらの改正は、2022年4月1日以後に開始される事業年度分の法人税から適用される。

なお、連結納税制度については、2020年度税制改正において、2002年度創設以来18年ぶりに抜本的に見直され、グループ通算制度へ移行する。具体的には、2022年4月1日以後開始事業年度から、企業グループ全体を一つの課税単位とする現行制度に代えて、企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行いつつ、損益通算等の調整を行う簡素な仕組みとすることなどにより、事務負担の軽減を図る。

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