一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の資産について、個別に減価償却をせずに、使用した年から3年間にわたって、その年に一括償却資産に計上した資産の取得価額の合計額の3分の1を必要経費に計上していくものをいう。これに対して少額減価償却資産とは、取得価額が30万円未満の資産について、一定の要件をもとに、使用した年に全額必要経費に計上することができるものをいう。

少額減価償却資産は中小企業者等にのみ認められた特例だ。一括償却資産には上限金額はないが、少額減価償却資産の特例を適用できるのは取得価額の合計が年間300万円以内に限られる。中小企業者等が、10万円以上20万円未満の資産を取得したときは、(1)通常の減価償却を行う、(2)一括償却資産とする、(3)少額減価償却資産の特例を適用する(上限あり)のいずれかの方法によることができる。

取得価額が10万円未満又は20万円未満の資産であるかどうかについては、通常1つの単位として取引されるその単位で判定していく必要がある。例えば、機械及び装置であれば1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品の場合は1個、1組などの単位で判定する。また、単体では機能を発揮できないようなものは、社会通念上一つの効用を有すると認められる単位ごとに判定していく。

一括償却資産はその年に取得した資産をまとめて、3年間で均等償却するが、資産ごとに月割りでする通常の減価償却とは異なるので注意が必要だ。例えば、その年の1月に一台15万円のパソコンを10台取得し、その年の12月に一台15万円のパソコンを20台取得し、一括償却資産として計上した場合は、「15万円×30台÷3年=150万円」がその年の損金算入額となる。

なお、一括償却資産に関する規定は、少額の資産について個別管理をするのが煩雑であることから、その事務負担を配慮するために設けられている。そのため、個別管理することを前提としておらず、一括償却資産に計上した資産を除却したとしても、残存簿価を除却損に計上することはできない。3分の1した毎年の償却額だけが損金に計上されることとなる。除却だけではなく、一括償却資産を売却したときも同様となる。

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