一般社団法人新経済連盟(代表理事:三木谷浩史氏)は22日、2021年度の税制改正に関する提言「コロナ問題を乗り越えるための税制提言」を発表した。同要望は、会員企業の声をもとに関係者と議論し、とりまとめたもので、(1) 企業の成長時期に応じて効果的な税制優遇を行うメリハリのある税制構築、(2)DX(デジタル変革)及び無形資産投資の流れを汲んだ税制の最適化、の2つの視点から税制の改正を提言している。

具体的には、コロナ問題対処に直結する税制として、プラットフォームを提供したクラウドファンディング事業者等や参加者への税優遇(寄付金控除枠の拡大)や、税制を通じたキャッシュ還流のための税制措置、雇用維持を条件としたM&Aを促進する税制の創設、需要拡大分野(医療・物流・通信システム等)における多額の設備投資への優遇のほか、スタートアップやベンチャーの活躍のための税制などを提言している。

税制を通じたキャッシュ還流では、コロナ問題による一時閉店や事業停止等により、キャッシュが不足する企業が多く発生していることなどから、多くの企業が9月に支払うことが想定される法人税の中間納付について、前年度の2分の1納付は厳しいため、一時的な緩和策の導入や、欠損金繰戻還付について、災害損失欠損金に限定せず、また前年のみならず5年間の繰戻還付を認め、赤字企業にキャッシュを還元することなどを要望した。

また、雇用維持を条件としたM&Aを促進する税制の創設は、コロナ禍という厳しい環境下でも社会全体で雇用維持を図るため、雇用維持型M&Aの場合には売り手・買い手双方の企業に対して課税減免することや、コロナ禍の手元資金の制約を乗り越えるため、株式対価M&Aについて譲渡益に対する課税繰延べ措置を恒久的措置として導入すること、賃上げ税制・所得拡大促進税制の要件のうち、賃上げ関係の要件の一時凍結などを提言した。

スタートアップやベンチャーの活躍のための税制では、コロナ問題を乗り越え第四次産業革命を果たすために、創業後一定年数以内のスタートアップについて、赤字決算の場合、試験研究費の控除割合(6~14%)分の給付を可能とする給付付研究開発税制の創設を始め、オープンイノベーション税制の拡充、スタートアップに向け欠損金繰越控除の拡充・法人事業税等の減免・インセンティブ報酬の拡充などを求めている。

「コロナ問題を乗り越えるための税制提言」は↓
https://jane.or.jp/app/wp-content/uploads/2020/05/20200522document.pdf

提供:株式会社タックス・コム