財務省がこのほど公表した、2020年3月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、前年度末(2019年3月末)からは11兆1856億円増えて1114兆5400億円となり、4年連続で過去最大を更新した。新型コロナウイルス感染の拡大を受けて編成された今年度の補正予算では、25兆円余りの歳出の財源を全て国債の発行に頼っており、さらに今後の経済対策への財政出動が予想され、国の財政はより厳しい状況になりそうだ。

3月末の国の借金は、2019年3月末に比べ、国債は約10.8兆円増の約987.6兆円で全体の約89%を占め、うち普通国債(建設国債+赤字国債)は、約12.7兆円増の約886.7兆円となった。その内訳は、長期国債(10年以上)は約24.3兆円増加して過去最大の約669.2兆円となったものの、中期国債(2年から5年)が▲約11.3兆円減の約163.7兆円、短期国債(1年以下)も▲約0.3兆円の約23.8兆円となり、全体の増加を抑制した。

この「国の借金」1114兆5400億円は、2020年度一般会計補正後予算の歳出総額128兆3493億円の約8.7倍、同年度税収見込み額63兆5230億円の約17.5倍である。年収500万円のサラリーマンが8750万円の借金を抱えている勘定だ。また、わが国の今年4月1日時点での推計人口1億2596万人(総務省統計、概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2019年3月末時点の約874万円から約885万円に増加している。

わが国の公債残高(普通国債残高)は年々増加の一途を辿っているが、2020年3月末実績の公債残高は、2019年度末見込み(補正予算ベース)の約897.8兆円から約886.7兆円程度にとどまった。しかし、2020年度末の普通国債残高は約932兆円が見込まれ、2020年度一般会計税収予算額約64兆円の約15年分に相当し、国民1人当たり約740万円、4人家族で約2960万円にのぼり、将来世代に大きな負担を残すことになる。

2020年3月末現在の国債及び借入金等の現在高は↓
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/202003.html

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