新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言下においてテレワークを導入する企業が急増するなか、中小企業のテレワーク等を支援する税制が注目を集めている。新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律案が4月30日付で可決成立したが、これを受け、業務のデジタル化(テレワーク等)を促進するために中小企業経営強化税制が拡充された。

中小企業経営強化税制とは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)が選択適用できるもの。これまで、生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)が対象になっていたが、新たにデジタル化設備(C類型)が対象に加わった。

つまり、既存税制の拡充扱いで、中小企業がテレワーク等のための設備を取得した場合に、中小企業経営強化税制の適用を受けられるようになる。具体的には、遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にするデジタル化設備として、経済産業大臣の認定を受けた経営力向上計画に基づいて機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウエア等を取得した場合に、即時償却又は税額控除が選択適用できる。

上記の「遠隔操作」とは、デジタル技術を用いて事業を非対面で行えるように、また、事業従事者が、通常業務を、通常の出勤場所以外の場所で行えるようにする目的で、遠隔操作をすること。「可視化」とは、(1)データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行い、(2)(1)のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するもので、(3)(1)により事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化を行えるようにすること。

また「自動制御化」とは、デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行えるようにすることや、その指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであること。「経営資源等の最適化」とは、「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいう。

テレワーク支援策としてはこのほか、ITツール導入による業務効率化等を支援するIT導入補助金、新たにテレワークを導入した中小企業事業主等に対してテレワーク用通信機器の導入等に係る経費を助成する働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)、テレワークの知見・ノウハウ等を有する専門家が無料でテレワーク導入に関するアドバイス等を実施するテレワークマネージャー派遣事業(総務省)なども注目されている。

この件については↓
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501kyoka.html

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