1月20日に開会した通常国会では、加入可能年齢の引上げや受給開始時期の選択肢の拡大、中小企業向け制度の対象範囲拡大など企業年金・個人年金制度等の見直しのため確定拠出年金法等の改正が審議される予定だが、見直し後も現行の税制優遇措置を適用することが税制改正大綱に盛り込まれた。現行では、確定拠出年金の掛金は加入者拠出分は全額所得控除、運用益も非課税で、年金として受給するときは公的年金等控除が適用される。

個人が自ら運用手段を選んで老後の資産を作る確定拠出年金(DC)は大幅に拡充される。確定拠出年金の加入可能年齢の引上げは、高齢期の就労の拡大を制度に反映させるためで、企業型は厚生年金被保険者(70歳未満)(現行:厚生年金被保険者のうち65歳未満)に、個人型(iDeCo)は国民年金被保険者(現行:国民年金被保険者のうち60歳未満)とする。現行よりも掛金を多く出せるようになり、老後に受け取る年金も増える。

DC(企業型・個人型とも)の受給開始時期については、現行は拠出終了後の60歳から70歳の間で個人が選択可能となっているが、公的年金の見直しに併せて上限年齢を75歳に引き上げる。確定給付企業年金(DB)の支給開始時期については、企業の高年齢者雇用の状況に応じた柔軟な制度運営を可能とするため、設定可能範囲を70歳に拡大(現行:60歳から65歳の間で企業が設定可能)する。

また、中小企業を対象に、企業型DCの設立条件や必要な手続きを簡素化し、少ない事務負担で導入することができる「簡易型DC」や、企業年金の実施が困難な中小企業がiDeCoに加入する従業員の掛金に追加で事業主掛金を拠出することができる「中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)」が実施可能な事業主の範囲を拡大するため、従業員規模を300人以下(現行:100人以下)に拡大する。

そのほか、企業型DC加入者が個人型であるiDeCoに加入する場合、企業型DCの規約の定めなしに加入できるように改善する(現行:労使合意に基づく規約の定めがある企業に限定)等の見直しをする。

提供:株式会社タックス・コム