国税庁が公表した2018年分相続税の申告状況によると、2018年中に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった前年2017年分(134万397人)を1.6%上回る136万2470人だった。このうち相続税の課税対象被相続人数は、同4.1%増の11万6341人、課税割合は0.2ポイントと微増の8.5%だった。2015年分から課税割合は、2015年1月以後の相続等からの課税強化により、8.0%(2014年4.4%)に大幅増加していた。

2015年分から課税割合は大幅増加したが、2018年分も8.5%と4年連続での8%台で、過去10年間では最高の割合となり、相続で税金がかかるのは100人に8人となっている。また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、16兆2360億円で前年比4.2%増加し、税額も2兆1087億円で同4.5%増とともに増加した。

被相続人1人当たりでみると、課税価格は前年比横ばいの1億3956万円、税額は同0.3%増の1813万円となった。2015年分から、相続税改正によりこれまでなら課税対象とならなかった課税価格の少ない被相続人が多く含まれている。また、相続財産額の構成比は、「土地」が35.1%と3割半ばを占め、「現金・預貯金等」が32.3%、「有価証券」が16.0%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.3%、「家屋」が5.3%だった。

前年と比べ「土地」は1.4ポイント減少したが、「現金・預貯金等」は0.6ポイント増加し、平成に入ってから最高の構成比となった。相続財産に占める割合が高い土地の評価はやや上昇したが、課税強化によっても相続財産の課税価格が基礎控除額(「3000万円+600万円×法定相続人の数」)内でおさまるケースが多いことになる。2011年分から平均路線価額は算出していないが、前年の2010年分は1994年を100とすると、49に低迷していた。

もっとも、1994年でも課税割合は5.2%だから、もともと相続税の課税割合は低いともいえる。周知のように、2013年度税制改正では、相続税について、課税ベースの拡大と税率構造の見直しが行われた。具体的には、2015年より、相続税の基礎控除について、改正前の「5000万円+1000万円×法定相続人数」を約6割に引き下げるとともに、最高税率も55%に引き上げられており、課税割合の大幅な上昇につながっている。

2018年分相続税の申告状況は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf

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