先日発表された東京税理士会の2019年度「税務調査アンケート」では、税務調査日数は1日~2日で終了との回答割合が約70%だったことなどが明らかになったが、同調査では書面添付制度についてもアンケートを行っている。調査結果(有効回答数2551会員)によると、回答のあった2310件のうち、「書面添付をしている」ものは513件で、添付割合は前回(23.7%)に比べ1.5ポイント減の22.2%となった。

「添付している」と回答した513件(22.2%)の内訳は、「全て添付している」が83件(3.6%)、「一部添付している」が430件(18.6%)。また、「添付していない」と回答した1797件(77.8%)のうち、「過去に添付していたが、今は添付していない」との回答が71件(3.1%)あった一方で、「今は添付していないが、今後添付する予定」との回答が102件(4.4%)あり、今後の添付割合の上昇が期待できそうな結果となった。

書面添付の件数については、「法人税(消費税含む)」は、総申告件数1万3472件のうち書面添付した件数が5490件で40.8%(前回44.9%)、「所得税(消費税含む)」は、同1万3535件のうち書面添付した件数が1879件で13.9%(同16.2%)、「相続・贈与税」は、同1564件のうち書面添付した件数が809件で51.7%(同60.1%)となっており、今年度は全税目において添付比率が昨年度より下降している。

書面を添付している理由(複数回答)については、「税務調査の省略化」が60.8%で最も多く、次いで「業務品質の向上」(45.2%)、「業務上の責任範囲を明確化」(38.2%)、「税理士の権利」(32.4%)、「顧問先に対するアピール」(31.4%)、「金融機関に対するアピール」(9.0%)などが挙げられた。その他の理由(3.6%)としては、「顧問先からの要望」、「顧問先との信頼関係の強化」などの目的で積極的に制度を利用しているとの意見があった。

一方、書面を添付していない理由(複数回答)では、「時間や労力がかかり煩雑」が50.5%で最も多く、次いで「添付する効果が不明」(49.0%)、「科目内訳書及び概況書で十分」(32.8%)、「報酬の請求が困難」(28.2%)などが続いた。東京会では、「書面添付制度を積極的に活用していくためには、制度の趣旨を税理士がよく理解することが肝要。引き続き、制度の研修等を充実させ、制度の普及・定着に努めていきたい」としている。

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