東京税理士会は、会員が受けた税務調査について、(1)事前通知の実施状況、(2)無予告調査、(3)調査件数、調査内容及び調査日数、(4)調査結果、重加算税処分などの実態把握を目的に、2019年度「税務調査アンケート」を実施した。調査結果(有効回答数2551会員)によると、対象期間(18・7~19・6)に3376件の税務調査があり、このうち「納税者のみに通知があった」件数は174件(5.2%)で、前年より1.3ポイント減少し改善した。

通知がなかった無予告調査件数は213件(6.3%)で、このうち「事前通知はなかったが、税務調査が速やかに開始されたもの」が185件(86.9%)だった。無予告調査は、納税者の負担が特に大きいことから、東京会では、「正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあるとき」又は「調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」以外は避け、事前通知は要しないとの判断は慎重にするよう求めている。

回答のあった調査件数3229件の内訳は、「法人税(消費税含む)」が2501件と約78%を占め、「所得税(同)」が346件、「相続税(含む贈与税)」が225件、「消費税(単独調査)」が89件、「その他国税」が68件。調査内容は、「帳簿・証憑」が2760件(85.5%)で大半を占めているが、他の調査内容については、(1)「現金・預金」(30.4%)、(2)「パソコン等」(11.2%)、(3)「机・書庫・金庫」(11.0%)などの順に多くなっている。

調査日数については、3229件中、「1日」で終了したものが633件で20.1%(前年比3.2ポイント減)を占め、「2日」が1556件で49.4%(同1.4ポイント%減)と、1~2日で終了したものが全体の69.5%を占めた。また、「3~4日」は591件で18.8%(同1.9ポイント増)のほか、「5日以上」が368件で11.7%(同2.6ポイント増)となり、1~2日の件数がやや減少する一方で、3日以上の調査件数が増加している。

調査結果については、回答のあった2905件のうち、「申告是認」が612件(21.1%)、「修正申告」が2246件(71.6%)、「更正」が47件(1.6%)。修正申告・更正2293件のうち、「重加算税処分」となったものは442件(21.2%)だった。なお、調査官の態度としては、「良かった」が30.3%(昨年度30.9%)、「悪かった」が10.1%(同9.6%)、「普通」が59.6%(同59.4%)で、昨年度と同様、「良かった」と「普通」で約9割となった。

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