会計検査院がこのほど公表した2018年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは335件、1002億3058万円(320件分)にのぼった。前年度に比べ、指摘件数は39件減少して直近の10年間では最少となり、指摘金額では前年度から約13%減少した。指摘金額とは、租税や社会保険料等の徴収不足額を始め、補助金等の過大交付額などだ。

財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の過不足2億1279万円(前年度:2億6673万円)が指摘された。58税務署において、納税者78人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が78事項、2億1212万円、徴収額過大が1事項、67万円だった。前年度は、38署において徴収不足が60事項、2億6273万円、徴収過大は1事項、400万円だったので、徴収不足は約19%減少したことになる。

徴収が過不足だった78事項を税目別にみると、「法人税」が41事項で徴収不足が1億3552万円と最も多く、以下、「申告所得税」13事項、同2717万円、「消費税」13事項(うち1事項は徴収過大67万円)、同3450万円、「相続・贈与税」10事項、同1266万円、「源泉所得税」1事項、同142万円などだった。これらの徴収過不足額については、会計検査院の指摘後、全て徴収決定または支払決定の処置がとられている。

法人税では、徴収不足41事項のうち、受取配当等の益金不算入に関するものが26事項と法人税全体の6割強を占めた。例えば、A農業協同組合は、2事業年度分の申告に当たり、その有する他の内国法人の株式等のうち1法人の株式等をその他の株式等に該当するとして、受取配当等の益金不算入の対象となる金額を、配当等の額の50%相当額の2事業年度分計1億4653万円としていた。

しかし、A農協は、両事業年度において、その法人の発行済み株式総数の5%以下相当数の株式等を配当等の支払に係る基準日に有していたことから、その法人の株式等は、非支配目的株式等に該当していた。このため、両事業年度の益金不算入の対象金額は20%相当額の計5861万円となり、上記の金額との差額8792万円が過大となっていたのに、これを見過ごしたため、2事業年度分で法人税額計1920万円が徴収不足になっていた。

財務省に対する不当事項(租税の徴収額に過不足)は↓
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary30/pdf/fy30_futo_0120.pdf

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