国税庁が公表した今年6月までの1年間(2018事務年度)における法人税等の調査事績によると、大口・悪質な不正計算が想定されるなど調査必要度の高い9万9千法人(前年度比1.3%増)を実地調査した結果、うち約75%に当たる7万4千件(同1.8%増)から総額1兆3813億円(同38.2%増)と大幅増加の申告漏れを見つけた。追徴税額は1943億円(同▲0.2%)。調査1件当たりの申告漏れ所得は1397万円(同36.4%増)となる。

調査した21.1%(不正発見割合)に当たる2万1千件(前年度比1.4%増)が故意に所得を仮装・隠ぺいするなどの不正を行っており、その不正脱漏所得は前年度比▲0.1%の2887億円で3年ぶりの減少。1件当たりでは同▲1.5%の1386万円となった。また、法人消費税については、法人税との同時調査で9万5千件(同1.4%増)の実地調査を実施。うち、5万6千件(同0.6%増)に非違があり、税額800億円(同6.9%増)を追徴した。

不正を業種別(調査件数350件以上)にみると、不正発見割合の高い10業種では、「バー・クラブ」が70.3%で17年連続のワースト1位。「バー・クラブ」は、近年25年間で24回1位(唯一2001年度がワースト2位)という不名誉な記録を持つワースト業種の常連。次いで、昨年と同様「外国料理」(46.7%)、「大衆酒場、小料理」(46.3%)、「その他の飲食」(42.7%)と続き、以下、「自動車修理」(29.2%)となっている。

また、1件当たりの不正所得金額が大きい10業種では、「輸入」(4385万円)、「その他の化学工業製造」(4237万円)、「産業用電気機械器具製造」(3146万円)が、それぞれ前年ランク外から1位~3位に、次いで例年ワースト上位の「パチンコ」は3063万円で4位だった。不正発見割合でワースト1位の「バー・クラブ」は1629万円、2位の「外国料理」は774万円、3位の「大衆酒場、小料理」は798万円で、いずれもランク外だった。

なお、源泉所得税については、2018事務年度は11万6千件(前年対比0.4%増)の源泉徴収義務者について実地調査を行い、このうち、非違があったのは3万6千件(同0.6%増)で、その追徴税額は重加算税適用税額73億円を含む370億円(同21.8%増)だった。追徴税額の本税額(333億円)では、「給与所得」が217億円と約65%を占めてダントツのトップ、「非居住者等所得」が94億円、「報酬料金等所得」が13億円で続いた。

この件については↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf

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